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【国際】持続可能な保険原則、環境汚染賠償責任保険の在り方で提言。韓国保険大手が調査資金拠出

 国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)の国連持続可能な保険原則(PSI)は6月、環境汚染賠償責任保険の在り方に関する調査報告書を発表した。韓国のDB損害保険が作成資金を拠出した。

 今回の報告書では、世界の環境汚染賠償責任保険の市場の発展と拡大を支援するために必要な重要事項の整理と、世界の保険業界に推奨する戦略、行動、次のステップを概説。作成では、保険会社、再保険会社、販売代理店党、35カ国168社が調査に回答。12カ国57名に対してはインタビューも実施した。

 環境汚染賠償責任保険は40年以上前から商品として存在しており、現在の世界市場規模は約35億米ドル(約4,700億円)。2020年の世界の賠償責任保険料(自動車保険を除く)の市場規模2,140億米ドル(約29兆円)に占める割合は1.6%。また、35億米ドルのうち、米国市場だけで約20億米ドル(約2,700億円)を占めている。

 同保険は、米国の包括的環境対応・補償・責任法(CERCLA)、EUの環境責任指令等、各国の法律や規制の枠組みが大きく影響しており、現在多くの主要国では同保険への加入は任意だが、韓国と中国では加入が必須となっている。

 同報告書は、リスクマネジメント、法規制、データ、専門人材、環境政策と保険政策の整合性、リスクギャップへの対策の6つをテーマに在り方を示した。まず、従来の汚染リスクのみならず、気候変動や生態系、プラスチック汚染等の新たなリスクに十分対応できておらず、同市場のポテンシャルは大きいと指摘した。

 一方、市場を適切に拡大していくためには、環境政策を保険政策に反映させ、適切な法環境を整備していくことが重要とした。また、保険会社自身のリスクマネジメントとしては、資産運用まで含めたバランスシート全体のアプローチで、顧客企業の損害防止やリスク低減を促すべきとした。また、今回の調査では、環境汚染賠償責任保険の加入義務を求める声も多く、政府は加入を義務化するか任意のままでいくかを検討すべきとした。

 また、環境汚染賠償リスクの管理や引き受け等必要なスキルセットを持つ専門家の育成、環境規制当局と保険規制当局の連携、新しいリスクに対応する新商品開発のための枠組みの整備の必要性も訴えた。

 今回の調査を基に、各市場関係者への提言を示した。保険市場参加者には、リスク管理・引受・仲介・保険金請求管理などの専門性を高めるための人材投資や、規制当局を含めたバリューチェーン全体で活用できる環境汚染事象の標準分類の構築等を挙げた。

 保険規制当局には、同保険に関する統計データを収集するため保険料や保険金請求実績等のデータ報告制度の確立や、環境規制当局と連携した法律・規制の目的と保険による解決策の整合性確保等を挙げた。

【参照ページ】NEW RISKS, NEW OPPORTUNITIES: HARNESSING ENVIRONMENTAL POLLUTION LIABILITY INSURANCE FOR A SUSTAINABLE ECONOMY

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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