G7エルマウ・サミットは6月28日、共同コミュニケの他に、「グローバル食料安全保障声明」も採択した。短期的な食糧危機と、長期的な農業・食料システムのサステナビリティの双方を同時に追求していくことを宣言した。
【参考】【国際】G7エルマウ・サミット「再エネ転換が最も賢明な選択」と確認。ウクライナ戦争でも方針不変(2022年6月28日)
同声明では、国連食料・エネルギー・金融危機対応グループ(UN GCRG)の分析結果を紹介し、今後、世界での急性的な食料不足に陥っている、もしくはそのリスクが極めて高い人は、3億2,300万人となり、統計以来最多となる見通し。原因は、ウクライナ戦争、新型コロナウイルス・パンデミック、生物多様性の喪失、気候変動、世界経済不安が複雑に絡み合っているとした。特に、ロシアのウクライナ侵攻が、農業生産とサプライチェーンの破壊が、食料や肥料価格を上昇させ、事態を大きく悪化させたと見立てた。
G7は、2015年開催のG7エルマウ・サミットで、2030年までに飢餓・栄養不足の人工を5億人低減するという目標を掲げていた。しかし、現状では事態がさらに悪化しているため、G7は5月に「食料安全保障アライアンス」も発足。今回は対策を強化することを打ち出した。
具体的な対策では、まず、世界の飢餓・栄養不足に立ち向かうため45億米ドル(約6,100億円)の追加拠出を表明。G7全体の今年の支援学は140億米ドル(約1.9兆円)となる。
また、ロシア政府に対し、ウクライナの港の封鎖、港湾・輸送施設の破壊、穀物庫や穀物ターミナルの破壊、ウクライナの農作物や農業設備の収奪を無条件で中止するよう要求。ウクライナでの農業が続けられるよう、肥料や農薬へのアクセスを支援することも打ち出した。国連主導で、黒海に安全回廊の創設も確保しにいく。また、G7の経済制裁では、食料を対象としないことを再確認した。
打撃が大きい国に対しては、同様に肥料の適量施肥に関する支援に乗り出すとともに、有機肥も促進する。また、企業に対しても、世界食糧計画(WFP)とともに、食料援助の協力するよう求めた。また、食料の過剰備蓄は、事態をさらに悪化させるとし、全ての国に自制を求めた。
長期的には、国連持続可能な開発目標(SDGs)、パリ協定、砂漠化対処条約(UNCCD)、生物多様性条約との整合性の下、農業・食料システムのレジリエンスとサステナビリティを強化するとした。そのため、WFP、食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、世界食料安全保障委員会(CFS)、世界貿易機関(WTO)、国際金融機関等の国際機関の重要な活動を支持した。
最後には、政府、国際機関、地域イニシアチブ、研究機関、NGO、民間セクター、慈善団体に対し、食料安全保障のためのグローバルアライアンスを支援するよう求めた。
【参照ページ】G7 Statement on Global Food Security
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