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【国際】13カ国・地域、石油ガスのメタン放出・漏出削減で合意。CO2削減とエネルギー危機

 米国及びEUを始めとする13カ国・地域の政府は6月17日、「グローバル・メタン・プレッジ(Global Methane Pledge)」の目標達成を確実にするため、エネルギー分野でのメタン排出削減をミッションとする「グローバル・メタン・プレッジ・エネルギー・パスウェイ」を新たに発足した。

 グローバル・メタン・プレッジは、2021年11月の第26回国連気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)の場で正式発足し、105カ国でスタート。2030年までにメタン排出量を2020年比30%以上削減することを目標としている。最近では、エジプト、コソボ、モルドバ、オマーン、カタール、セントルシア、トリニダード・トバゴ、ウズベキスタンも加盟し、現在の加盟国数は120。世界のメタン排出量で約50%、世界GDPで約75%をカバーした。

【参考】【国際】グローバル・メタン・プレッジ、105ヶ国・地域で正式発足。2030年に30%以上減(2021年11月3日)

 今回、グローバル・メタン・プレッジ・エネルギー・パスウェイに初期メンバーとして加盟したのは、米国、EU、日本、ドイツ、イタリア、デンマーク、ノルウェー、カナダ、メキシコ、アルゼンチン、エジプト、オマーン、ナイジェリアの13カ国・地域。また企業単位では、マレーシア国営石油ペトロナスが賛同を表明した。パスウェイの参加国は、全体で世界のガス生産の約40%、ガス輸入の約60%を占める。

 グローバル・メタン・プレッジ・エネルギー・パスウェイは、メタンのフレアリング、ガス抜き、漏出等が、人為的なメタン排出の約25%を占めていることを課題視。放出・漏出量だけで、250bcmに上り、世界第3位のガス生産国の年間生産量を上回る。これらを防止することで、ガスの生産効率も上げられ、費用対効果が高く、今回幅広い国の賛同を得た形。

 今回の発足に合わせ、各国や国連機関からは、総額で、約6,000万米ドル(約80億円)の資金拠出が発表された。

 まず、世界銀行のグローバル・ガスフレアリング削減パートナーシップ(GGFR)を支援するため、米国政府が150万米ドル、ドイツ政府が150万米ドル、ノルウェー政府が約100万米ドルを拠出する。

 また、2004年に発足したグローバル・メタン・イニシアチブ(GMI;旧・メタン市場化パートナーシップ)を支援するため、米国政府が350万米ドル、カナダが今後4年間で200万米ドルを拠出する。科学評価を支援する。

 国連環境計画(UNEP)のInternational Methane Emissions Observatoryからは最大950万米ドルを拠出。同活動では、パートナー機関と協力し、2022年のCOP27までに人工衛星によるメタン排出の警告・対応システムの第1段階を立ち上げる予定で、EUが1,700万ユーロを拠出することを発表している。

 10以上の財団等が2022年3月に共同設立した「グローバル・メタン・ハブ」からも年間最大4,000万米ドルを拠出する。政府間機関である短寿命気候汚染物質(SLCP)削減のための気候変動と大気汚染防止の国際パートナーシップ(CCAC)も、グローバル・メタン・プレッジ・エネルギー・パスウェイの目標達成を支援する。

 また、ガス生産国からのコミットメントでは、米国政府は、バリューチェーン全体で石油・ガスのメタン排出削減の進捗を継続し、米国のガス会社の排出削減と消費者コストの削減を支援することを表明。メキシコとPEMEXは、2024年までにガスの探査、生産、処理過程におけるメタンガスの排出を86%から100%削減するプロジェクトと行動を包括的に評価し、自国の資源と国際クレジットで約20億米ドルを投じると発表した。アルゼンチン、ナイジェリア、カナダ、エジプトからも対策実施の表明があった。

 ガス消費国側からは、EUと日本政府が、適切な国際的監視・報告・検証基準策定の促進、化石燃料バリューチェーン全体でのメタン排出削減技術支援・投資、石油・ガス生産・消費のバリューチェーン全体でのメタン排出削減に努力すると表明。EUはさらに、CCACが2014年に立ち上げた「石油・ガス・メタン・パートナーシップ」でのアクションを国内法化し、石油・ガス企業に削減を求めていくとした。

 省エネに関しては、国際エネルギー機関(IEA)が、省エネに関する国際会議を6月7日から9日まで開催し、24カ国政府が参加。共同声明で、省エネによって、エネルギー危機、インフレ圧力、二酸化炭素排出量等の複数の重要課題に対応できることをあらためて強調した。会議では、不動産、消費者行動、効率化対策のための資金調達方法等も話し合われた。

 同会議で、IEAは省エネに関するレポートも発表。現在の世界で省エネを年4%改善へと倍増させると、2030年までに年間95EJの最終エネルギー消費を回避できる可能性があるという。これは、現在の中国の年間エネルギー使用量に相当する規模。家庭だけで2030年までに年間6,500億米ドル以上のエネルギー料金削減効果もあるという。

 同レポートではまた、石油・ガス部門からのメタン放出・漏出を削減するために利用可能なすべての技術を導入すれば、今世紀半ばまでに約0.1度の気温上昇を回避するとの見通しも示した。これは、世界中のすべての自動車、トラック、バス、2輪・3輪自動車の二酸化炭素排出量に匹敵するという。

【参照ページ】U.S.-EU Joint Press Release on the Global Methane Pledge Energy Pathway
【参照ページ】Ministers from around the world agree to speed up energy efficiency progress to help tackle global energy crisis

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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