欧州保険・企業年金監督局(EIOPA)は6月17日、保険業界での気候変動等のシステミック対策監督に関する2つの政策方向性を発表した。7月18日までパブリックコメントを募集する。
今回の政策は、保険商品が、パンデミック、自然災害、大規模なサイバー攻撃等のシステミックな事象に対応できなくなるリスクが高まっていることが背景。保険でリスク回避できないおそれや、既存商品でも当該システミックリスクが保険対象から除外されるおそれがあることが念頭に置かれている。
また、システミックな事象へ対応は、あいまいな契約条件が理由で、損失補償の当否が不明確。EIOPAは、それにより、保険契約者と保険会社の間の紛争、保険業界のレピュテーションリスク、および関係者全員にとっての重大な損失につながっているとみている。そこで、今回、EU加盟国の金融監督当局に対し、監督指針を示しにきた形。
今回示した政策方向性案文書は2つ。まず、パンデミック、自然災害、大規模なサイバー攻撃等のシステミックイベントに関連する免責に関する監督指針案。もう一つが、非確定的なサイバーエクスポージャーの管理に関する監督指針案。
双方の文書の内容は、まず、保険会社が、適用補償の除外条件を明確にしているかを監督。さらに、システミックな事象に起因するリスクが保険対象外となる場合、あるいはリスクが保険対象となるかどうかが明確でない場合、保険会社には、特定された対象市場の需要、目的、特性を考慮し、条件および保険範囲を自主評価するよう求めている。同様の新規保険商品の設計でも、同様の自主評価を求めている。
このように、EIOPAは、顧客の需要に応じた保険商品設計ができていれば、システミックリスクに適切に対応できているとみなす意向。そのため、顧客側が将来リスクを適切に見定め、保険会社に需要を伝えていく必要性が高まる。
【参照ページ】EIOPA consults on its supervisory statements on exclusions in insurance products arising from systemic events and on the management of non-affirmative cyber exposures
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