IT世界大手米マイクロソフトは6月2日、コンサルティング大手アクセンチュアと両社の合弁会社であるアバナードとともに、企業のサステナビリティトランスフォーメーション(SX)を支援するための戦略的パートナーシップの締結を発表した。
3者の提携では、アクセンチュアのサステナビリティサービス、アバナードの優れたデジタル体験、マイクロソフトの堅牢なクラウド及び人工知能(AI)を組み合わせ、業界ごとに異なる固有課題に価値を提供していく計画。
短期的には、支援企業の事業、製品、サービス、バリューチェーンを変革し、カーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)への移行を加速させるソリューションを提供することに重点。特に4つの分野で協力を深めていく。
1つ目は、製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)化。製造業は生産拠点、工場ネットワークごとにデジタル基盤を迅速に構築し、拡張する必要がある。また、収集したデータを仮想空間に再現し様々なシミュレーションを行うデジタルツインの技術を応用し、生産とオペレーションのプロセスで、排出物、廃棄物、材料、水など資源の消費量を削減し、バリューチェーンの透明性を確保することができる。
2つ目は、再生可能エネルギーへの移行。企業はエネルギー全体のバリューチェーンを変革する必要がある。エネルギー基盤全体を接続・統合できるシステムを開発し、企業での再生可能エネルギーを導入が進むようサポートを行う。
3つ目は、マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」と「グリーンソフトウェアエンジニアリング」によるサステナブルなIT。アクセンチュアの調査では、オンプレミスのデータセンターからクラウドに移行することで、企業のエネルギー使用量を65%、二酸化炭素排出量を84%以上削減可能とのこと。また、二酸化炭素排出量を考慮したシステム設計の原則「グリーンソフトウェアエンジニアリング」を活用し、システムの低炭素化を促進する。
4つ目は、「Microsoft Cloud for Sustainability」によるサステナビリティ指標の測定、分析。指標を記録、報告し、アクション可能なインサイトを提供するサービスを提供する。
今回の発表は、ICTセクター全体の二酸化炭素排出量削減を目指す「グリーンソフトウェア財団」での活動や、移民の子どもたちの保護を確立するための非営利団体「Project Amplify」での活動を発展させたもの。中長期的には、より幅広く環境、社会、ガバナンス(ESG)の観点で事業を拡大していく。
また、マイクロソフトと消費財世界大手米P&Gは6月8日、マイクロソフトのクラウドを活用してP&Gの製造現場のデジタル化を促進する4年間のパートナーシップを締結したことを発表した。
P&Gの製造現場のデジタルプラットフォーム化を進め、IIoT(インダストリアルIoT)を活用して商品開発速度の向上、顧客満足度の向上、コスト削減を実現するための共同でイノベーションを実現していく計画。
今回の発表では、Microsoft Azureを基盤としたシステム上に、100以上の製造拠点からデータのデジタル化と統合を実現、AI、機械学習、エッジ・コンピューティングを強化し、リアルタイムに状況を可視化、意思決定が可能になる。
すでにエジプト、インド、日本、アメリカでパイロットプロジェクトを実施しており、おむつ、トイレットペーパーの製造で製造サイクルタイムの改善、廃棄物削減、コスト削減などに取り組んでいる。また、サステナビリティ向上のため工場全体のエネルギー効率を最適化する。パイロットプロジェクトをサポートするための専門組織デジタルイネーブルオフィス(DEO)を共同で設立した。
【参照ページ】Accenture, Microsoft and Avanade expand partnership to help organizations tackle their greatest sustainability challenges
【参照ページ】P&G and Microsoft co-innovate to build the future of digital manufacturing
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