年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は5月12日、東証一部上場企業(2021年12月16日時点)を対象に実施した機関投資家のスチュワード活動に関する第7回アンケートの結果を公表した。IRミーティングの変化、運用会社による統合報告書の活用状況、集団的エンゲージメントの対応評価、議決権行使に関する対話、ESGインデックス採用に関する評価等、GPIFが目指す企業の長期志向経営に向けた内容となっている。
GPIFは、運用会社のスチュワードシップ活動の動向を把握するため定期的に上場企業にアンケートを実施。今回の回答率は32.5%(前年は31.2%)。2,183社にアンケートを送付し709社から回答があった。企業規模別では、大企業の回答率が84.0%に対し、小型企業は21.6%と規模により大きな差が出た。回答期間は1月14日から3月18日。
GPIFから運用委託を受けている運用会社とのIRミーティングについて、5割以上の企業が好ましい変化を感じると回答し、特に「全体または多数の機関投資家の好ましい変化を感じる 」との回答が前回の9.9%から、13.6%へと大きく増加。好ましくない変化が増えたとしたのはわずか0.7%だった。
機関投資家に示している長期ビジョンについては、想定年数が「20年以上」とした企業が前年の6.9%から7.4%へと増加。10年以上の尺度で想定している企業の割合が53.5%から55.5%へと伸長した。
統合報告書の機関投資家の活用についても、「進んできた」の回答が、2018年は17.5%、2019年は39.4%、2020年は50.0%、2021年は61.7%、2022年は63.5%と大幅に上昇した。
ESGで重視しているテーマでは、気候変動が14.3ポイント上昇し、77.9%で初めて首位。コーポレートガバナンスが昨年と変わらず71.7%で第2位。ダイバーシティも55.0%と、前回から11.8ポイントも上昇した。人権と地域社会が43.2%、健康・安全が38.8%の順。
同アンケート結果では、機関投資家と発行体側双方の改善が見られるが、回答率が32.5%と少ないことから、回答に積極的に応じていない企業の状況が依然として気にかかる状況だ。
【参照ページ】「第7回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」の公表について
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