欧州議会の環境・公衆衛生・食品安全委員会(ENVI)は5月11日、2021年に欧州委員会で採択された包括的気候産業政策「Fit for 55」に基づき、自動車とバンの二酸化炭素排出量基準を大幅に改訂するEU規則案を、賛成46、反対40、棄権2の賛成多数で可決した。大型車は別途議論する。6月に欧州議会本会議で採決される。
【参考】【EU】欧州委、包括的気候産業規制「Fit for 55」採択。国境炭素税も盛り込む。大企業賛同(2021年7月15日)
同規則案では、内燃機関で駆動する自動車の新車販売を段階的に廃止することが主。具体的には、燃費規制を、現行の1km当たりの二酸化炭素排出量を7gという基準を引き上げ、2025年から5g、2027年から4g、2034年までは2g、2035年からは0gとすることを掲げた。これにより、2035年に内燃機関で駆動するガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)の新車販売が廃止される見通しとなった。
今回の規則案では、eFuel等の合成燃料の扱いも焦点となった。欧州委員会は、二酸化炭素排出ルール上は、カーボンニュートラル扱いとなる合成燃料も、実際には走行時に排出量が生じるとし、ガソリン等と同様の扱いにする考え。これに対し、チェコ等は反対したが、最終的には賛成多数で可決された。
同規則案には、自動車が消費する燃料及びエネルギーのライフサイクル全体を評価するためのEU共通の方法論を、2023年までに欧州委員会が作成することも盛り込んでいる。
また、同様に2023年末までに、自動車産業でのジャスト・トランジション(公正な移行)を確保し、雇用等への悪影響を軽減するための予算の必要性を分析した報告書を欧州委員会が作成することも盛り込まれた。
同規則案は、欧州議会本会議とEU理事会の双方での可決が必要となる。
【参照ページ】Fit for 55: MEPs back CO2 emission standards for cars and vans
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