金融世界大手仏BNPパリバは5月3日、2025年までの新たな気候変動コミットメントを発表し、投融資ポートフォリオでの原単位カーボンフットプリント短期目標を盛り込んだ気候レポートを初めて発行した。
同レポートでは、「発電」「石油・ガス・精製」「自動車」の3セクターに対し、2025年までの二酸化炭素排出量の原単位削減目標(2020年比)を設定。国際エネルギー機関(IEA)の「NZE 2050」シナリオを採用し、いずれもそれより厳しい目標を自主的に掲げた。
発電セクターの目標は、2025年までに2020年比でスコープ1で30%以上削減。そのため、電力セクターでの投融資ポートフォリオにおける石炭火力発電比率を2020年末の10%から2025年までに5%未満にまで減らすとともに、再生可能エネルギー比率を2020年末の57%から66%以上にまでと引き上げる。そこで、再生可能エネルギープロジェクトに対するファイナンス額を2021年の186億ユーロ(約2.5兆円)から、2025年までに300億ユーロ(約4兆円)にまで増やす。同セクター向けの部門では、グリーン水素を含むトランジションの専門家チームも発足させた。
(出所)BNPパリバ
石油・ガス・精製セクターの目標は、スコープ1、2、3で、2025年までに2020年比で10%以上削減。同社は2021年5月、2025年までに石油・ガス上流部門の信用エクスポージャーを10%削減することを発表していたが、今回12%削減へと目標を引き上げるとともに、石油上流での信用エクスポージャーを25%削減することを決めた。すでに2021年末時点で同社の石油・ガス・精製セクター向けの信用エクスポージャーは全体の1.3%にとどまっている。
また、2022年中に、オイルサンドとシェールオイル・ガス事業での売上が10%以上を占める企業へのファイナンスを禁止。加えて、ノルウェー領を除く北極圏(AMAPの定義)とアマゾン地域での石油・ガス関連事業にも一切ファイナンスしない。
(出所)BNPパリバ
自動車セクターの削減目標は、自動車生産に伴うスコープ3で、2025年までに2020年比で25%以上削減。同社は、投融資ポートフォリオに占める電気自動車(EV)の割合は、2020年の4%から2025年までに25%以上に達すると予想。EV生産を加速させるため、サステナブルボンド(ESG債)やサステナブル融資を継続していく。
(出所)BNPパリバ
今回の2025年目標達成に向け、社内に専門家250名で構成する「低炭素トランジション・グループ」を発足済み。トランジション分野で大企業向けに2,000億ユーロ(約26兆円)以上のファイナンスを目標とし掲げている。原資として、2025年までにサステナブルボンド・ローン(ESG債・ローン)で、総額3,500億ユーロ(約46兆円)以上を調達する方針。
【参照ページ】BNP Paribas unveils its first 'climate analytics and alignment report' and carbon intensity reduction targets by 2025
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