欧州投資銀行(EIB)と輸出信用機関伊SACEは4月11日、イタリアのエネルのペルー子会社エネル・グリーン・パワー・ペルーに対し、サステナビリティ・リンクローン型のコミットメントラインを最大6.5億米ドル(約840億円)提供することで合意した。
今回のコミットメントラインでは、同社が2023年までにスコープ1の二酸化炭素排出量を148g/kWh以下とする目標に連動している。本融資はこの目標の達成度に応じて金利がステップダウンされる。資金使途は主に、中南米での再生可能エネルギー開発投資。
【参考】【イタリア】エネル、脱石炭期限を2027年に前倒し。再エネ設備容量を2030年までに145GW(2021年9月28日)
今回の融資は、2022年1月に改訂されたエネルのサステナビリティ・リンクローン・フレームワークに沿ったもの。これは、EIBグループが策定した「気候銀行ロードマップ」や、国際資本市場協会(ICMA)やローン・マーケット・アソシエーション(LMA)が策定するサステナビリティ・リンクローン原則(SLLP)に準拠しており、第三者機関であるV.E(VigeoEiris)がセコンドオピニオンを提供した。
今回の発表は、EIBとSACEが提供する初のサステナビリティ・リンクローン。EIBが欧州以外の民間セクターに対する融資としては過去最大規模。同融資により、再生可能エネルギーが年間約2,307GWh発電される見込みで、これは132万世帯の年間消費量に相当する。
エネル・グリーン・パワーは、ペルーでの約300MWの風力・太陽光発電プロジェクトに向け、1.3億米ドル(約170億円)を投資。残りの5.2億米ドル(約670億円)は、ブラジルとコロンビアでの再生可能エネルギー発電および配電プロジェクトに投資される見込み。
また、エネルは4月14日、ブラジルに陸上太陽光発電所と風力発電所への新規投資により、今後3年間で3,000MWを追加する予定と発表した。ブラジルの再生可能エネルギー事業の成長を加速させる。
中南米での再生可能エネルギー市場の成長の40%はブラジルが震源地。エネルは、今後ブラジルでも火力発電から再生可能エネルギーへの転換が進むとみており、事業進出を強化している。すでにエネル・グリーン・パワー社は、ブラジルで4,700MW以上の再生可能エネルギー設備容量を持っており、半分が風力発電で、残りは太陽光発電と水力発電。さらに今後3年間で3,000MWを拡大しにいく計画。
同社は2021年、ラテンアメリカに2024年までに約98億ユーロ(約1.4兆円)を投資すると発表しており、その半分をブラジルに投じる計画。将来的には、同地域への投資に占めるブラジルの割合は60%~70%に増加する見込み。中国などからの供給に頼らず、自社で生産することが重要だとの考え。
またエネルは4月13日、エネル・グリーン・パワーがシチリア島東部の風力発電所で発電した電力を活用して製造したグリーン水素を、伊エネルギー大手サピオに供給する契約も締結。生産能力は年間約200万t。同グリーン水素は2023年から利用可能になる予定。サピオが市場開拓と流通を担当する。
【参照ページ】Enel agrees on 600 million euro facility with the European Investment Bank and SACE for sustainability-linked financing in Latin America
【参照ページ】Enel Green Power and Sapio sign an agreement to supply green hydrogen produced by NextHy in Sicily
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