IT世界大手米IBMは4月28日、最高サプライチェーン責任者(CSCO)を対象にサプライチェーンとサステナビリティに関する調査レポート「レジリエントなデジタルサプライチェーン」を発表した。
同レポートは、プロセスマイニング世界大手独セロニスと協力し、10業界のCSCO約500人を対象に調査を実施。CSCOは、データに基づいたサプライチェーンを構築するため、ハイブリットクラウドシステム、人工知能(AI)、自動化、サステナビリティに注目していることが明らかとなった。
新型コロナウイルス・パンデミック以降の課題では、需要のボラティリティ(80%)、物流コストの上昇(77%)、物流の利用可能性(76%)が挙がった。すでに、原材料と製品の不足で在庫切れ及び売上減少につながったとの回答が71%。デリバリー時間の短縮のための物流コストが上昇したとの回答も60%あった。
(出所)IBM
現状の対策としては、実行管理システムの導入(87%)、プロセス・タスクマイニング(77%)が実施されている。
また、デジタル変革を実現する戦略に関する回答では、「2025年までにAIを活用したリアルタイム在庫管理システムを導入する」が83%、「リアルタイム在庫予測をするためのプロセス・ワークフローにAIを活用」が81%、ハイブリットクラウド上のデータ統合が74%。
CSCOの53%は、今後3年間の競争優位性を発揮する分野としてデジタルサプライチェーンの変革が最も重要と回答した。また、66%がサステナビリティはビジネス価値の中核であると回答し、51%がサステナビリティの成果を高めるために平均5%の利益を犠牲にしてもよいと回答した。これは米フォーチュン500社の年間利益で換算すると、220億ドル(約2.9兆円)に相当するという。
また、サーキュラーエコノミーやカーボンニュートラルに関する設問もあり、今後3年の計画として、「廃棄物の削減と材料の再利用を実現するための製品ライフサイクル全体の設計」が47%、「自社製品・サービスのエネルギー効率の向上」が44%、「再生可能エネルギーに基づく新製品・サービスの開発」が35%、「廃棄物ゼロの新製品・サービスの開発」が30%という回答だった
また、55%がサステナビリティに関するモニタリングとレポートの導入を計画している。米証券取引委員会(SEC)は2022年3月、上場企業に対して気候変動リスクの開示を義務付ける規則改正案を発表している。
【参考】【アメリカ】SEC、大・中規模上場企業にTCFD開示義務化へ。スコープ3の開示義務化も(2022年3月22日)
同レポートでは、データに基づいた持続可能なサプライチェーンの構築するためのステップとして、「AIや機械学習を活用したレジリエンスを強化する新しいビジネスモデルの構築」「プロセス・ワークフローの自動化への継続的な投資」「サステナビリティを最重要戦略の1つとして位置づけること」の3つを提言した。
【参照ページ】More than Half of Chief Supply Chain Officers Surveyed Would Sacrifice Profit for Sustainability
【参照ページ】The resilient digital supply chain
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