持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)は4月21日、米人事コンサルティング大手コーン・フェリーと共に作成したダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の成熟度の主要な構成要素と、WBCSDの加盟企業から集めた課題と実践例を記載した新レポート「職場におけるDE&I」を発表した。
同レポートは、DE&Iの成熟度の主要な構成要素を探り、主要な課題に対する新しい解決策の実践例を紹介。コーン・フェリーのDE&I成熟度モデルとWBCSD会員企業へのインタビューを活用し、構造的・行動的要素を含む複数の観点で、新たな実践例を特定した。また、あらゆる組織のビジネスと人材活用にDE&Iを統合する上で、大きな違いをもたらす重要な成功要因を提唱している。
同レポートでは、組織にDE&Iの統合を成功させるための3つの重要な要素を挙げている。
1つ目は、データ駆動型で取り組むこと。成功する組織は、科学的・分析的な厳密さを持ってDE&Iを進めている。DE&Iの課題および機会への対処において、測定可能かつ長期的な成功を達成するためには、データ、分析、検証可能な調査に基づいた意思決定をすることが重要だ。
2つ目は、変革のアプローチ。DE&Iに関する取り組みが最終的に成功するかどうかは、DE&Iをすべての人材とビジネス慣行に組み込み、CEO、経営陣、管理職がDE&Iの取り組みにオーナーシップを持てるか次第とした。DE&I成熟度を高めるには、すべての行動と意思決定にDE&Iを統合しなければならない。
3つ目は、責任の共有。DE&Iの変革は、従業員、人事、リーダーの間で責任を共有して推進しなければならない。従業員は自身の成長とパフォーマンスを推進し、組織は制度的な障壁を取り除き、偏見のない意思決定を行い、従業員の経験に基づく公平性を設計する必要がある。インクルーシブリーダーはDE&Iを「ビジネス手法」として支援すると同時に、自らもインクルーシブリーダーシップの行動の模範となる必要がある。
WBCSDは2021年7月、不平等に対処するための新たなイニシアチブ「不平等に対処するためのビジネス委員会(BCTI)」を発足。同イニシアチブは、セクターを超えたマルチステークホルダーの連合体であり、民間企業を動員して不平等に対処し、すべての人のための繁栄を生み出すことを使命としている。
【参考】【国際】WBCSD、不平等対処イニシアチブBCTI発足。若年スキル・ミスマッチではUNICEFと共同提言(2021年7月16日)
その一環として、BCTIは、DE&Iワークストリームを立ち上げ、主要企業、NGO、学者、政府間組織と協力し、DE&Iのベストプラクティスの理解と取り込みを進めている。2023年初頭に発行される同イニシアチブの報告書に反映される予定。
【参照ページ】WBCSD and Korn Ferry launch report exploring key dimensions of maturity when it comes to Diversity, Equity & Inclusion (DEI)
【画像】WBCSD
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