米アップルは4月19日、製品全体での再生素材活用の進捗状況を発表した。同社は2020年、2030年までにバリューチェーン全体で二酸化炭素ネット排出量をゼロ(カーボンニュートラル)にすると宣言しており、製品の完全サーキュラーエコノミー化も進めている。
【参考】【国際】アップル、2030年までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラル達成と宣言(2020年7月22日)
同社が、製品生産で100%再生素材活用という長期方針を発表したのは2017年。当時は無謀とも思われた戦略を、同社は着々と実現してきている。今回の発表内容も、同社の2022年環境報告書の中で公表したもの。
【参考】【アメリカ】アップル「2017年環境進捗報告書」発表。製品生産100%リサイクル利用の長期方針発表(2017年5月2日)
同社は2021年の実績では、金で初めて認定取得の再生金の導入を開始。再生タングステン、再生レアアース類、再生コバルトの使用量も2倍以上になり、レアアース類では再生比率が45%にまで増加。スズでも30%、コバルトで13%で、いずれも再生認定を取得している。2021年に同社製品に使用された全素材のうち約20%が再生素材で過去最高となった。
製品中に含まれるアルミニウムでは、59%が再生素材。多くの製品は筐体に100%再生アルミニウムを使用している。また、2025年までにパッケージでのプラスチック使用ゼロ目標では、2021年時点でもプラスチックの使用をすでに4%にまで低減。2015年比では75%削減できた。
また今回新たに、新リサイクル装置「Taz」を発表。テキサス州オースティンにある素材再生研究所で、エンジニアや専門家等がパイロット規模の産業用電子機器破砕機を用いて研究開発を行なっており、Tazもそこから生まれた。Tazは、破砕機に似た方式を用いてオーディオモジュールから磁石を分離し、従来比で、レアアース類の回収量を大幅に引き上げることができる。他にも、特許取得済みのiPhone分解ロボットDaisyの能力を拡大し、23のiPhoneモデルを分解できるようにした。加えて、Daisyの特許を他社や研究機関に無料でライセンス供与している。修理では、2021年に1,220万台を修理し、バージン資源の必要性を減らした。
同社は、サプライヤーの再生可能エネルルギー電力使用量も、2021年に2倍以上となり、設備容量は10GWを突破。今後数年間で16GWまで増える見通し。現時点で、再生可能エネルギー電力100%での生産にコミットしている同社はサプライヤーは213社となった。そのうち中国企業が55社を占める。アップルから発電所への直接投資もさらに増やしてきている。
【参照ページ】Apple、製品全体で再生素材の利用を拡大
【参照ページ】Apple、世界各地でサプライヤーが再生可能エネルギーの利用を大幅に加速できるよう支援
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