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【国際】BASF、農業イノベーションで10年間の方向性発表。種子、AI、バイオ農薬等

 化学世界大手独BASFは4月20日、気候変動や環境への影響を最小限に抑えた農業イノベーションで、同社の今後10年の方向性を発表した。小麦、菜種、大豆、トウモロコシ、綿花、米、果物、野菜等の主要作物での収量増加に向け、種子と形質、種子処理、生物学的・化学的アプローチでの作物保護、デジタル農業でのイノベーションに注力する。

 同社は、農業研究にサステナビリティ観点を統合済み。2021年には、農業部門の研究開発に9億ユーロ(約1,250億円)を投じており、2022年に高い水準での投資を継続する。同分野からの将来的な売上高は、ピーク時で75億ユーロ(約1兆円)となる見通し。

 同社は、世界人口の増加に伴い、小麦農家は今後20年間、年率1.7%の収量増が必要と分析。ハイブリッド小麦種子「Ideltis」を5年後以降に販売予定という。ハイブリッド種子とは、生物が遺伝的に遠縁の品種間の自然交配で、優れた形質が均一な性質で発現することを利用して開発された種子。

 同社は、同社の人工知能(AI)活用の栽培管理支援システム「ザルビオ」を活用し、ハイブリッド小麦種子の農場における、同社殺菌剤「Revysol」、殺虫剤「Axalion」、除草剤「Luximo」の使用量を最適化。土地利用を4%削減し、収量を増大。生物多様性保全と二酸化炭素排出量削減も実現する。ザルビオは、JA全農(全国農業協同組合連合会)にも提供されている。

【参考】【日本】JA全農、BASFのAI活用栽培管理システム「ザルビオ」を日本市場で提供。スマートアグリでドイツ製採用(2021年3月21日)

 また同社は、南米の大豆農家の需要に合わせ、アジア型のダイズさび病等の病害対策で総合電機世界大手独ボッシュと協働。BASFのザルビオに、ボッシュの高機能カメラセンター技術及びソフトウェアを統合したソリューション「Smart Spraying」を開発した。

 Smart Sprayingでは、出芽前後の雑草の自動識別とリアルタイム管理が可能。専用除草剤の散布量を最適化し、除草剤使用量を最大70%削減する。これにより雑草が除草剤抵抗性を持つリスクも低減できる。同技術は、今後18ヵ月以内に、ブラジル、北米、欧州で販売開始予定。

 加えて同社は、ハイブリッドキャノーラ種子「InVigor」の開発や、乾燥や高温に強くなるよう品種改良された黄色い種子のハイブリッドキャノーラ種子の開発も行っている。極端且つ多様な気象条件では、病害や害虫の発生予測が困難なため、同社種子処理剤「Vercoras」等を活用し、早期の予防措置が必要だと強調した。

 さらにアジア地域では、稲作における二酸化炭素排出量と水使用量削減を進める。同社はすでに、イミダゾリノン系成分の除草剤と同種の除草剤耐性を持つハイブリッド種子を組み合わせた同社の米作システム「Clearfield」を提供。5年後以降に、キザロホップ成分の除草剤と、その耐性を持つハイブリッド種子を組み合わせた米作システム「Provisia」も提供する。農家では、農産物1tあたり最大50%の二酸化炭素排出量が削減できる見込み。

【参考】【タイ】BASF、直播米作農法を国際会議でアピール。タイ米作局とも安全面向上で連携(2017年10月20日)

 同社はその他、屋内栽培用の種子と作物保護技術の開発にも注力。トマト、キュウリ、ピーマン、レタス等の通年収穫に向けた基礎研究を進めている。2021年には、品種改良型の野菜の種子「nunhems」を栽培するための温室を設立。EU、中国、中南米向けには、温室に最適化された同社バイオ殺虫剤「Velifer」及びバイオ殺菌剤「Serifel」も販売予定。

【参照ページ】Strong pipeline of BASF agricultural innovations will benefit food security, climate and environment
【画像】BASF

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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