英小売大手テスコは4月7日、従業員の賃金上昇、契約時間延長、スキル獲得に向けたトレーニング投資、福利厚生の強化等について、英労働組合USDAWと合意したと発表した。
賃金では、約2億ポンド(約330億円)を投じ、店舗およびカスタマー・フルフィルメント・センター(CFC)での時給を5.8%引き上げる。今回の賃金上昇に向けた投資は、過去10年間の単年度投資額で最大。同社従業員の賃金は、過去10年間で40%以上上昇している。また、配送ドライバーやクリック&コレクト・デリバリー・アシスタントでも、賃金を引き上げる。但し、経済の不確実性を踏まえ、2023年に改めてUSDAWと再度給与見直しを行うとも語った。
契約時間延長では、新規の従業員募集を行う際、週16時間以上の契約を基本とする他、外部からの募集を行う前に、契約が週16時間未満の既存従業員に同枠を割り当てることを約束した。
スキル獲得に向けたトレーニング投資では、eコマースの躍進を踏まえ、従業員の長期的なキャリア形成を支援。2022年後半には、従業員が希望する働き方や柔軟性を実現するため、勤務スケジュールや能力開発等にアクセスできるオンラインプラットフォームを設立する。
福利厚生の強化では、従業員の健康支援プログラムや従業員割引枠の拡大を行う。従業員割引枠は、従来の年間1,000ポンド(約16万円)から1,500ポンド(約25万円)まで拡大。また、従業員の家族が同社小売店舗で買い物する際に、10%割引を適用する他、給料日の週末には、割引率を15%まで引き上げる。
同社は、英国サプライヤー酪農家の支援も充実させている。3月30日には、同社の「持続可能な酪農グループ(TSDG)」に加盟する英国内の酪農家520世帯を対象に、牛乳への支払い価格を、1lあたり約20%引き上げると発表。市場価格に依らず、安定価格を保証することで、将来計画を立てやすくし、酪農家が農場、農法の改善に投資できるようにする。
同社は2007年以降、公正な価格の保証により、家畜の健康と福祉、二酸化炭素排出量削減、生物多様性の保全を進めてきた。2016年以降、農場での二酸化炭素排出量を8.5%削減し、乳牛の健康と福祉の基準を継続的に改善。土壌の健康改善と生物多様性の保全では、昆虫や動植物を育む植物やハーブの栽植も行っている。
生態系保全や二酸化炭素排出量削減では3月31日、英国スーパーマーケットとして初めて、花壇用の草花でのピート(泥炭)フリー化を発表。まず4月から英国産観葉植物での泥炭使用を95%削減し、2023年までに完全にピート・フリーを目指す。
同社は、植物を年間約4,000万本販売する英国最大級の観葉植物販売業者。英リンカンシャー州スポルディングの植物サプライヤー「ブリッジ・ファーム・グループ」と協働し、ピートフリーを進めることで、泥炭地や動植物の保全に寄与する。
【参考】【イギリス】政府、泥炭地から採取した泥炭小売販売を段階的禁止へ。生態系保護と気候変動対策(2021年12月31日)
【参照ページ】Tesco makes significant investment in colleague pay, benefits and skills
【参照ページ】Tesco provides much-needed boost to British dairy farmers
【参照ページ】Tesco set to go peat-free on UK-grown bedding plants and make major carbon-saving move
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