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【国際】OECD、中小企業向け融資のレポートを発表。コロナ禍で融資残高の伸び率過去最高

 経済協力開発機構(OECD)は3月29日、スタートアップを含む中小企業の資金調達状況を分析した報告書を発表した。中小企業向け融資残高の中央値は、2012年に調査を開始して以来、最も高い上昇率だった。新型コロナウイルス・パンデミックで外部資金調達が異例なほどに増えている。

 同報告書は、2007年から2021年前半までの世界48カ国の中小企業金融の動向と政策について分析したもの。このスコアボードには、負債、エクイティ、資産担保融資、中小企業・起業家向けファイナンスの枠組み条件に関する指標が含まれており、需要側の情報や中小企業ファイナンスを支援する公的・私的イニシアティブの最近の動向も含まれる。

 同報告書によると、中小企業向け融資の残高の中央値は4.9%増加。これは2012年に調査を開始して以来、最も高い上昇率だった。特に、政府が提供する融資保証は、2020年には前年比110%増。金融モラトリアムや中小企業への直接融資も、2020年に前年比17%も増えていた。

 また、中央銀行による金融政策介入を含む緊急支援策は、金利を記録的な低水準に押し下げている。スコアボード対象国の中小企業金利の中央値は2020年に0.4ポイント低下し、2009年以来最大の低下幅となった。それが奏功し、スコアボードが対象とするほとんどの経済圏では、前例のない支援策によって倒産の波が避けられた。スコアボード対象国の倒産件数は、中央値で2020年に11.7%減少した。

 しかし、各国が支援策を段階的に縮小し、企業がエネルギーコストによる圧力を受けるようになると、倒産や破産が増加することが予想される。ウクライナでの戦争とそれに伴う人道的・経済的危機は、中小企業に対する支援と資金調達へのアクセスの重要性を強めている。

 各国の復興対策における中小企業への注目度は、危機対策と比較して相対的に低い傾向にある。新型コロナウイルス・パンデミック直後の影響を乗り切るための中小企業に対する支援措置は 3兆1,360億米ドル(約400兆円)以上、支援全体の40%だった。それに対し、中小企業を対象とした政府の債務、補助金、繰延手段による支援策は復興パッケージで320億米ドル(約4兆円)と、支援全体の4.5%に過ぎなかった。

 同報告書は、政府の復興支援策は、存続可能な中小企業やスタートアップが必要としているものに的を絞った支援を提供し続けることが極めて重要であるとしている。

【参考】New OECD report shows loans to SMEs hit new heights during the pandemic, as small firms face renewed pressures during the recovery
【参考】Financing SMEs and Entrepreneurs

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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