2050年までの運用ポートフォリオのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にコミットするアセットオーナーのイニシアチブ「Net-Zero Asset Owner Alliance(NZAOA)」は4月7日、投資家の企業・政府との体系的なエンゲージメント手法に関するディスカッション・ペーパーを発表した。
今回のペーパーは、1.5℃目標の達成に向けたトランジションを実現するため、経済的な変化を実際に起こしていく上で、投資家に求められる体系的なエンゲージメントの在り方を示したもの。
まず、企業とのエンゲージメントでは、個別企業へのエンゲージメントだけでなく、バリューチェーン全体を変化させてための複線的なエンゲージメントを俯瞰的に行っていくべきとした。投資家は、複数の業界に投資しているため、同業他社、サプライヤー、NGO、規制当局、顧客など、複数のステークホルダーを同時に動かしていくことができる。幅広いステークホルダーとの対話は、バリューチェーン全体で排出量を削減するための協力的な機会、およびネットゼロの達成に向けた規制や政策のハードルの両方を特定するのに役立つとした。
次に、政策エンゲージメントでは、直接的・間接的な影響力を行使して、政府だけでなく、NGOの専門家やステークホルダーを含む政策立案者に、1.5℃に沿った気候政策の立案と実施を提案すべきとした。内容には、企業による重要な気候変動情報の開示を求める規制の推進、企業との既存のエンゲージメント対話に気候変動ロビー活動の期待の組入れ、気候変動に効果的に対処する産業政策への支持等が含まれる。
そして、運用会社へのエンゲージメントでは、受託者責任の在り方を再検討させ、アセットオーナーの基本的なビジネスに対する気候変動の本質的なリスクを反映させるため、スチュワードシップ活動の野心を高めさせるべきとした。また、運用会社の継続的な選定・任命・モニタリング(SAM)プロセスに、幅広いステークホルダーとのスチュワードシップ活動の評価を統合させるべきとした。
【参照ページ】“CHANGE RULES OF THE GAME,” ASKS $10.4TRN NET-ZERO ASSET OWNER ALLIANCE IN NEW PAPER ON INVESTOR ACTION
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