蘭金融大手ABNアムロは4月14日、同社と奴隷制度の歴史的関係性について調査を行ったと発表。同社の前身企業が、18世紀から19世紀にかけて、奴隷貿易、プランテーション、奴隷により生産した製品取引等において、極めて重要な役割を担っていたとして公式に謝罪した。
同社の歴史は、ABNとアムロ銀行の合併を含む複数企業の統合の中にあり、ABNの起源は1824年設立のオランダ貿易会社まで遡る。オランダ貿易会社は1964年、農林金庫と経営統合し、オランダ総合銀行(ABN)となり、1975年には、ミーズ&ホープ銀行を買収した。今回奴隷制への関与が明確となったのは、このミーズ&ホープ銀行の前身であるホープ商会とMees en Zoonen。
ABNアムロは今回、国際社会史研究所(IISH)に歴史調査を委託。ホープ商会は、奴隷関連事業が利益の源泉であり、プランテーションも日常的に関与していたこと、Mees en Zoonenは、奴隷船や奴隷が収穫した農作物の船舶輸送に掛ける保険仲介を行っていたことが明確になった。
国際社会史研究所(IISH)の研究チームは、ホープ商会が18世紀末のオランダで最大の金融・商社であり、奴隷関連事業がその中核だったと分析。Mees en Zoonenは、事業規模こそ小さかったものの、実質的に奴隷関連事業者だったと判断した。
同社は、この調査結果を受け、奴隷の子孫コミュニティの代表者との対話を実施。同コミュニティが、歴史的苦痛だけでなく、現在も構造的な社会的不利を抱えており、対応策を求めていることが明らかになったという。
同社は、今後も同コミュニティとの対話を継続すると明言。社会的不平等の改善に向け、コミットメントを強化し、新たなイニシアチブ開発も行っていくと語った。進捗状況については、年次報告書で公表する。
【参照ページ】ABN AMRO apologizes for historic involvement in slavery
【画像】ABN AMRO
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