英内閣府は3月17日、人種・エスニシティ間格差を是正する「インクルーシブ・ブリテン」戦略を発表。70のアクション分野を示した。
英政府は2021年2月、人種とエスニシティの格差に関する委員会が、人種・エスニシティ間格差に関する独立報告書を発行。24の提言を示していた。それを踏まえ、英政府は2月、国内の社会課題に対応するための新たな政策「Levelling Up the United Kingdom」を発表。それに基づき、今回、省庁横断で動くべき具体的内容を整理した。
【参考】【イギリス】企業と社会的企業を巡る議論続く。英政府は社会課題対応の新政策「レベルアップ」提示(2022年2月13日)
今回の戦略では、「信頼構築」「公平促進」「担当機関創設」の3つが柱。企業に関するものでは、エスニシティ間の賃金格差の測定と報告方法に関するガイダンスの発行、AIによる潜在的な人種差別に対処するための規制基準とガイダンスの策定、融資申請経営者のエスニシティデータを収集しマイノリティの起業支援等を掲げた。
他にも、警察による差別を是正するため、停留所や捜索等の警察権力の行使を地域レベルで精査することや、マイノリティが警察に拘束された際に必要な法的助言を受けるための自動発動制度の試行。また、健康改善・格差対策室の新設。マイノリティ世帯の子供の養子縁組マッチングの改善、学校での識字能力と計算能力を向上も盛り込んだ。ヘイトスピーチ対策の「オンライン安全法案」の導入もその中に位置づけられた。
オンライン安全法案は、3月17日に内閣から国会に提出されている。SNS等でユーザーがコンテンツ投稿できるサービスを提供している大手プラットフォーマー事業者は、言論・表現の自由を守りながら、ポルノからのユーザー保護、違法コンテンツの閲覧防止が義務付けられる。違反企業は、世界全体の年間売上の最大10%の罰金が科される可能性がある。当局は、業務改善命令の発令や、違法サイトをブロックする権限も保つ。さらに情報開示請求に協力しない企業の経営者は、2ヶ月以下の刑事罰の可能性もある(原案の2年以下から引下げられた)。
同法案は、報道コンテンツは対象外。反対に、ジャーナリズムと民主的な政治的議論を保護するための要件も盛り込まれている。ヘイトスピーチ等、自傷行為、摂食障害等の「合法だが有害な」コンテンツへの対策も求められる。
【参照ページ】Government launches landmark Inclusive Britain strategy
【参照ページ】The report of the Commission on Race and Ethnic Disparities
【参照ページ】World-first online safety laws introduced in Parliament
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