経済産業省は3月24日、トランジション・ファイナンスに関するセメントと紙・パルプ分野における技術ロードマップを公表した。10月の鉄鋼分野、12月の化学分野、2月の電力、石油、ガスに続く第4弾。
【参考】【日本】経産省、鉄鋼の脱炭素ロードマップを提示。トランジションファイナンス向け第1弾(2021年10月31日)
【参考】【日本】経産省、化学分野でのトランジション・ファイナンス技術ロードマップ公表(2021年12月10日)
【参考】【日本】経産省、電力・ガス・石油分野のトランジション・ファイナンス技術ロードマップ公表(2022年2月18日)
トランジション・ファイナンスでのロードマップは、経済産業省、環境省、金融庁と共同して5月に発表した「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」に基づくもの。各業界での「トランジション・ボンド/ローン」での資金調達の観点を提供している。特に、日本では、カーボンニュートラル化できる技術分野を「グリーン」とした上で、そうではないカーボンニュートラル化までの暫定的な技術分野を「トランジション」と定義し、経済産業省は、トランジション分野に注力させようとしている。
【参考】【日本】政府、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」採択。ほぼ全業種でロードマップ提示(2020年12月25日)
【参考】【日本】政府、第6次エネルギー基本計画を閣議決定。7月発表の素案から修正なし(2021年10月22日)
セメントでは、セメント原料の石灰石から脱炭酸反応によるプロセス由来の二酸化炭素排出量が全体の6割を占め、エネルギーが4割。エネルギー消費の8割を占める熱エネルギーは、多くが石炭によって賄われており、1450度の高温を要する焼成工程に主に使われている。また、エネルギー消費の2割を占める電力は、自家発電と購入電力により賄われているが、自家発電は主に石炭、その他バイオマスや天然ガス等を燃料としている。
セメントのトランジションでは、省エネ・省資源をしつつ、燃料のバイオマス混焼を検討。クリンカ比率の低いセメントの開発も掲げた。あとはCCUS(炭素回収・利用・貯留)依存となっている。これらにより二酸化炭素排出量がどの程度削減されるかは、ほぼ「不明」という表現。
(出所)経済産業省
紙・パルプは、動力として電力を利用するとともに、蒸解・乾燥等の工程で多くの蒸気熱を利用している。自家発電割合も高く、石炭と重油が主な燃料。トランジションとしては、設備の効率化、エネルギー源のガス化・バイオマス化、副産物を効率的に燃料活用するための技術開発が柱。その他は、CCUS頼み。国産木材価格を低減するためのスマート林業も盛り込んだ。
(出所)経済産業省
【参照ページ】脱炭素化への移行に向け、トランジション・ファイナンスに関するセメント、紙・パルプ分野におけるロードマップを取りまとめました
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