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【日本】金融庁委員会、水害多発で全国一律料率の個人向け火災保険から脱却すべきと答申

 金融庁は3月31日、2021年6月に設置した「火災保険水災料率に関する有識者懇談会」の最終報告書を公表した。台風や豪雨災害の多発・激甚による気候変動影響を踏まえ、個人向け火災保険に関し、地域毎の水災リスクに応じた料率設定が望ましいと答申した。

 損害保険の料率はこれまで、日本の損害保険各社が加盟する損害保険料率算出機構で、火災保険の「参考純率」を発表。それを参照しながら、各社が料率を設定するという業界慣行がある。今回の答申では、全国一律での水災料率設定となっていることを問題視。「水災リスクが比較的低い地域に居住する保険契約者の納得感が得られにくい状況」と指摘した。

 また現在の全国一律での水災料率設定の弊害として、「洪水ハザードマップ上の浸水深が浅い地域の顧客が、火災保険から水災補償を外す傾向が認められており、万一の大規模水災の発生時に予期せぬ補償不足も懸念される」と判断。リスクの低い個人には、低い料率で火災保険を設定し、保険加入を促す方針が必要とした。

 全国一律の水災料率から、リスクに応じた「水災料率の細分化」を始まる上の留意点としては、まず、細分化を行う上での基礎データとして、例えば、外水氾濫の評価に「洪水浸水想定区域図(洪水ハザードマップ)」を用いることは、情報の網羅性・客観性があり、消費者の理解も得られやすいと考えられると判断。そのため、洪水ハザードマップの精度向上も今後求められる。但し、現在日本には、海面上昇の影響を踏まえた水災リスクマップは存在しておらず、今後データ性がますます重要となる。今回の最終報告書では、海面上昇には言及されなかった。

 一方、水災リスクの高い地域では、顧客が保険に加入できなくなることも起こりうるとした。そのため、高リスク地域では特別な配慮も重要とした。また、損害保険企業は、最新のリスク情報の収集に努め、引き続き水災リスクをはじめとする各種リスク情報の提供等に努める必要もあるとした。

 また、細分化を細かくしすぎると、データ収集・運用コストが嵩み、保険料率を押し上げるおそれもあり、包括的な消費者利益を考慮することも必要と指摘した。

 今回の最終報告書を受け、損害保険企業には、料率の細分化だけでなく、顧客の保険コストを下げていくため、顧客の減災・防災の促進や、事業活動を通じた社会全体の気候変動コストの引き下げも必要になってくる。

【参照ページ】「火災保険水災料率に関する有識者懇談会」報告書の公表について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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