米代替プラスチック開発スタートアップMi Terroは3月4日、資金調達ラウンドで150万米ドル(約1.8億円)の調達に成功したと発表した。企業価値は1,000万米ドル(約12億円)。2018年末の創業からわずか3年で大きな注目を集めている。
Mi Terroは、農業廃棄物からポリマーを抽出し、モノマー化したあとに、再度高分子素材を生産する技術を持つ。2021年10月には、ABインベブとユニリーバが共催したアクセラレータープログラムで選出され、両社から実証プロジェクトとして資金提供も受けた。現在、製造拠点のある中国に製品専門家チーム、米国にオフィスを持ち、わずか5人のチームで構成。
創業者兼CEOのロバート・ルオは、中国在住の叔父を2018年に訪問した際に、大量の牛乳が廃棄されていうことを知り、廃棄牛乳をアップサイクルするために起業。2021年2月には、牛乳の搾りかすから繊維を生産し、Tシャツを作ったことが2021年2月に発表されると、大きな話題を集めた。当時は当該繊維は日本も含め10万米ドル(約1,200万円)ほど販売できたが、B2C市場ではマーケット広がらないと判断し、事業を断念。そこで、ABインベブとユニリーバのプログラムに参加し、同様のプロセスで産業用素材を生産できることを発見した。
同社が現在開発しているのは、ABインベブのビール搾り粕を回収して、高分子素材を生産する技術。すでに特許も取得している。ABインベブの瓶用ラベルですでに実用されている。他にも射出成形をして、食品容器、カップ、テーブルマット、コースター等に加工できるという。他にも、P&Gやマクドナルドが委託しているロジスティクス企業Haviとも提携。目下、ユニリーバと共同で、洗濯用洗剤や食器洗剤の容器の開発を進めている。
同社の素材は、石油由来のプラスチックと比べ、鮮度保持や酸化防止に優れているという。またPBATやPLAの生分解性プラスチックと比べ、生産コストが低く、分解周期が短い。土壌で180日以内に自然分解するという。
同社の技術を活用すれば、他の農業廃棄物や食品ロスからも高分子素材を生産し、他の分子と加工することで多様な素材が生産できる。すでに関連特許も5件申請済み。理論的には素材を食べることもできるという。同社は2022年に100tから200tの生産を計画している。
同社は他にも、三菱商事、原田産業、NIKE、ドール等ともパートナーシップを締結している。
今回の資金調達ラウンドは、欧州ベンチャーキャピタルのAstanor Ventureがリードインベスター役を努めた。生産規模のスケールアップが主な資金使途となる予定。
【参照ページ】From beer waste to ‘plastic’ packaging, Mi Terro downs $1.5M to make the world more biodegradable
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