国際エネルギー機関(IEA)加盟31カ国は4月1日、臨時会合を開催し、ロシアのウクライナ侵攻での市場混乱に対応するため、追加の石油備蓄緊急放出で合意した。追加の放出量は6,270万バレル。詳細は来週早々に公表される予定。
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IEA31ヶ国は、国際社会のロシア制裁をあらためて支持。IEAの緊急放出合意は今回で史上5回目で、1991年、2005年、2011年、2022年3月1日に次ぐ。IEA加盟国は現在15億バレル緊急備蓄している。
現在、石油の商業備蓄は2014年以来の低水準で、特にディーゼル史上で深刻な模様。IEAは今回、各国政府と市民に対し、省エネ強化を呼びかけた。IEAが3月18日に発表した「石油消費削減のための10ポイントプラン」も支持した。IEA事務局は、3月3日には「EUのロシア産天然ガスへの依存度を来年冬までに削減するための10ポイント」も発表し、欧州委員会とも協議している。
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それに先駆け、石油輸出国機構(OPEC)とロシア等の非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」は3月31日、閣僚会合を開催。毎月日量40万バレルの増産を行う既存合意をあらためて再確認。5月は増産幅を日糧43.2万バレルにやや拡大する。次回の会合は5月5日。
またロシアのプーチン大統領は3月31日、4月1日以降、「非友好的な国々」へのロシア産天然ガスの海外輸出に関しては、国営天然ガス企業ガスプロム傘下のガスプロムバンクの特別口座を通し、ルーブルで決済することを義務化すると発表。関連法令に署名した。従わない場合は、ガス供給を停止すると表明した。ルーブルの買い需要を増やし、ルーブル安を抑える狙い。
これに対し、天然ガス供給の3分の1をロシアに依存する欧州諸国は反発。4月供給のガスの決済は、4月後半から5月に行われる模様で、それまで心理戦が続くこととなる。プーチン大統領は3月、外債でのルーブル支払で「非友好国」リストを発表し、その中には、米国、EU加盟国、スイス、カナダ等に加え、日本も含まれている。
【参考】【アメリカ・ロシア】ゴールドマンとJPモルガン、ロシア撤退。プーチンは国有化措置で対抗(2022年3月13日)
日本政府では、岸田文雄首相が4月1日、国会答弁の中で、ロシアでの石油・天然ガス開発事業「サハリン1」「サハリン2」から撤退しない方針を表明。「エネルギー安全保障上、重要なプロジェクト」と強調した。他方、ルーブル決済も拒否する方針を発表。ルーブル支払を強硬された場合の対応策は不明。
【参照ページ】IEA Member Countries agree to new emergency oil stock release in response to market turmoil
【参照ページ】27th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting
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