機関投資家の気候変動アクション・イニシアチブClimate Action 100+は3月30日、エンゲージメント対象としている世界166社に関し、投資先企業のカーボンニュートラルへのアクションを評価する枠組みとして「Climate Action 100+ ネットゼロ企業ベンチマーク」の状況を分析した第2弾の分析結果を発表した。
CA100+は、前年から評価指標を改訂し、今回の第2弾評価発表を実施。データが利用できるセクターに関しては、国際エネルギー機関(IEA)の「NZE 2050」シナリオを基に企業の状況を評価する形とした。加えて、ジャストトランジション(公正な移行)と、財務法定開示での気候変動想定も評価指標となった。
【参考】【国際】CA100+、ターゲット167社の2021年度評価スケジュール発表。結果は3月に公表(2021年10月6日)
【参考】【国際】機関投資家団体CA100+、167社の気候変動要求レベル到達状況を公表。今後のエンゲージメント強化へ(2021年3月24日)
(出所)CA100+
今回の結果では、42%の企業がスコープ3を含めた2050年までのカーボンニュートラルを宣言しているが、NZE 2050シナリオと整合性の在る長期削減目標設定では27%、中期削減目標設定では27%、短期目標設定では7%と大幅に減少していく。特に資本アロケーションにでは、目標整合性のない企業が95%と圧倒的多数を占める。達成に向けた戦略の発表も11%にとどまっている。
今回新設された財務法定開示での気候変動想定に関しては、財務法定開示の中で、NZEシナリオと整合性のある前提を用いて財務諸表を作成している企業はゼロだった。同指標は、カーボン・トラッカー・イニシアチブ(CTI)とカーボン・アカウンティング・プロジェクト(CAP)が開発・評価した。
他方、前年比では改善効果はみられる。2050年までに部分的にでもカーボンニュートラルを宣言している企業は、前年の52%から今年は69%へと増加。取締役会で気候変動監督を何かしら行っている企業も90%に到達した。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)でも89%の企業が開示か賛同をしている。
CA100+は今回、2022年の欧米の株主総会までの期間が勝負のタイミングと位置づけ、加盟機関投資家に積極的な投資先企業エンゲージメントを促した。株主総会での議決権行使も呼びかけた。また第3弾の発表を2022年広範囲予定しており、企業に対し大きな前進を要請した。
特にセクター別では、電力会社では2℃目標と整合性のある石炭削減計画を持つ企業が3分の1未満にとどまっており、石油ガス企業の3分の2が同じく2℃目標と整合性のない事業プロジェクトを抱えていることを強く懸念。気候変動コミットメントとロビー活動の言行不一致についても警鐘を鳴らしている。
【参照ページ】CLIMATE ACTION 100+ NET ZERO COMPANY BENCHMARK SHOWS AN INCREASE IN COMPANY NET ZERO COMMITMENTS, BUT MUCH MORE URGENT ACTION IS NEEDED TO ALIGN WITH A 1.5°C FUTURE
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