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【EU】EU理事会と欧州議会、デジタル市場法の制定で政治合意。ゲートキーパーの義務と禁止事項

 EU理事会と欧州議会は3月25日、デジタル市場競争力強化のEU規則「デジタル市場法(DMA)」の制定に向けた政治的合意を発表した。今後欧州委員会で法文化作業を進め、EU理事会と欧州議会での立法審議に入る。

 DMAは、包括的なプラットフォーマー規制を狙うもの。まず、「ゲートキーパー」として規制対象となるプラットフォーマーの定義として、過去3年間のEU域内売上が75億ユーロ(約1兆円)以上あるいは時価総額が750億ユーロ(約10兆円以上)。かつ、EU域内での月間エンドユーザーが4,500万人以上かつ企業ユーザーが1万社以上。

 加えて、3つ以上のEU加盟国で、各々1つ以上の主要プラットフォームサービスを市場的にコントロールできる立場にあることも要件とした。主要プラットフォームサービスには、マーケットプレイス、アプリストア、検索エンジン、SNS、クラウドサービス、広告サービス、音声アシスタント、ウェブブラウザ等が含まれる。

 また、同EU規則は、別途、「新興ゲートキーパー」というカテゴリーも設け、新たに出現した分野のゲートキーパーに対しても、迅速に規制をかけられるようにした。

 ゲートキーパーに課せられる義務は、

  • ユーザーが主要プラットフォームサービスの購読を停止する権利を、購読と同様の条件下で保証
  • ウェブブラウザ等の最も重要なソフトウェアは、OSインストール時にデフォルトで要求しない
  • インスタントメッセージングサービスの基本機能の相互運用性を確保
  • アプリ開発者がスマートフォンの補助機能(NFCチップ等)への公平なアクセスを確保
  • 販売者にプラットフォーム上のマーケティング・広告のパフォーマンスデータへのアクセスを保証
  • M&A時には欧州委員会に報告

 さらにゲートキーパーには禁止事項も設定される。

  • 自社製品やサービスを他の製品より上位にランク付けすること(自己リファレンス)は禁止
  • あるサービスで収集した個人情報を、別のサービスに再利用は禁止
  • ビジネスユーザーに対する不公平な条件の設定は禁止
  • 特定のソフトウェアアプリケーションのプリインストール
  • アプリ開発者がアプリストアに掲載されるために、決済システムやIDプロバイダ等の特定のサービス利用を要求することは禁止

 プラットフォーマーが、ゲートキーパーに指定されたことに異議がある場合は、異議を申し立てることは可能。違反を取り締まる当局は、加盟国ではなく、欧州委員会が唯一の権限を持つ。加盟国当局は、欧州委員会に通報することが可能。欧州委員会には、専門性を確保するため、諮問委員会とハイレベル会合を新設する。

 違反企業に対しては、全世界の売上の10%以下の罰金。常習に対しては、全世界の売上の20%以下の罰金を科すことができる。さらに8年間で3回以上の違反摘発がされた場合は、市場調査を実施し、救済措置を命じることもできる。

 一方、ゲートキーパーによるデータ収集から派生する経済的懸念は、同EU規則ではなく、デジタルサービス法(DSA)の方で所管する。現在、DSAも欧州議会とEU理事会での政治的合意に向けた調整が行われている。

 欧州委員会は、2020年12月にDSAとDMAの政策パッケージを提示。11月25日にEU理事会で全会一致の合意に達し、今回欧州議会との調整にも成功した。

【参照ページ】Digital Markets Act (DMA): agreement between the Council and the European Parliament

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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