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【EU】欧州理事会、ベルサイユ宣言採択。水素、再エネ、サーキュラーエコノミーを加速

 EU首脳級の欧州理事会は3月10日と11日、非公式会議を開催し、「ベルサイユ宣言」を採択した。ロシアのウクライナ侵攻を受け、緊急開催された。3つの重点対策事項を示した。

 今回の声明では、ロシアの軍事侵攻を「国際法と国連憲章の原則に著しく違反」と断罪。国際刑事裁判所の捜査開始も歓迎した。また、ウクライナの原子力発電所施設の安全性と安全保障の確保を要求。ロシア軍がウクライナ全領土から無条件に完全撤退すること要求事項とした。ベラルーシにも圧力をかけるとした。

 ウクライナに対しては、自由と民主主義を守るために立ち上がったことを称賛。EUと加盟国は、政治、財政、物品、人道の観点から支援する考えを示した。終戦後の再建での支援も約束した。すべての戦争難民の一時的保護も約束した。欧州委員会に対し、ウクライナ、モルドバ、ジョージアからのEU加盟申請に関する意見を速やかに欧州理事会に提出することも求めた。

 その上で、EUとして3つの重点対策事項を示した。まず、防衛力強化。防衛費の大幅増、加盟国での共同調達への投資促進、サイバーセキュリティ投資の拡大、技術・イノベーションへの投資、中小企業の参画強化を掲げた。偽情報対策や宇宙にも言及した。

 2つ目は、エネルギー依存度の低減。ロシア産の石炭、石油、ガスの輸入依存を極力早く段階的に解消することで合意。そのため、化石燃料そのものへの依存度低減を加速させ、欧州での再生可能エネルギーと水素市場の発展に注力。液化天然ガス(LNG)とバイオガスの調達ルートも多様化し、ガス貯蔵は強化。欧州規模のガス・電力網の相互接続も完成させる。サーキュラエーエコノミーの促進も掲げた。短期的な価格抑制では、3月24日と25日に開催される欧州理事会で検討すること明確にした。これに関し、欧州委員会は3月9日、先んじて「REPowerEU」計画を発表し、2030年までにロシアへの化石根量依存度をゼロにする政策を示しており、欧州理事会も今回、支持を表明した。

【参考】【EU】欧州委、ロシアからの化石燃料依存度を2030年前にゼロへ。再エネ・グリーン水素加速(2022年3月9日)

 3つ目は、強固な経済基盤の構築。具体的には、誰一人取り残さず、グリーン化とデジタル化を進めるとした。特に、サプライチェーンが脆弱な主要原材料、半導体、医薬品・医療機器、食品を、対外依存度を引き下げにいく。デジタル化では、技術投資と法整備を急ぎ、域内競争力を高める。スタートアップをさらに育成するため、リスク資本へのアクセス増強も盛り込んだ。

 EUは、先んじて3月11日、G7の緊急会合を開催。ロシアへのエネルギー依存度低減、ロシア市場からの秩序ある撤退を目指す企業への共感、ロシア経済・金融の国際的な孤立化を宣言していた。特に、世界貿易機関(WTO)での最恵国待遇の停止、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、欧州復興開発銀行(EBRD)等の国際金融機関からの融資禁止、経済制裁の抜け穴防止等での協調も打ち出していた。

 国際決済銀行(BIS)も3月10日、ロシア連邦中央銀行の参加資格を一時停止している。
 
【参照ページ】The Versailles declaration, 10 and 11 March 2022
【参照ページ】G7 Leaders’ Statement, 11 March 2022

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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