石川県白山市の洋食器メーカーのニッコーは3月11日、陶磁器食器を肥料にリサイクル技術を確立し、2月10日に農林水産省から肥料認定されたと発表した。国際特許も出願中。4月2日から販売を開始する。
従来型の陶磁器食器は、土壌分解されず、非常に長期に渡って廃棄物のまま残ってしまうことが課題だった。また、リサイクル難易度も高く、肥料取締法では産業廃棄物の扱いとなり、廃棄が大きな問題だった。同社は今回、陶磁器食器を肥料に分解するという世界初の画期的な技術を開発したことになる。新たなサーキュラーエコノミーの道が拓けた。
今回の発表では、同社が販売しているボーンチャイナ製食器(NIKKO FINE BONE CHINA)のリサイクル技術を確立したというもの。同食器は、陶磁器の原料となる石や粘土に加え、食肉加工され残った牛の骨を溶解再合成したリン酸三カルシウムを約50%含有。色、透光性、鉛フリー及びカドミウムフリーの安全性からレストラン等でも多く活用されている。
リサイクルして生産された肥料「BONEARTH」は、高温焼成で作られてり、無臭、長期保存可能なリン酸肥料。植物が自分で根から出すクエン酸に触れることでリン酸が溶け、養分となるため、過剰に施肥をしすぎても、成長の妨げにはならないという。加えて、水に溶けないので、長期間肥料効果が持続。河川流出もしにくく、水質汚染リスクの少ない。
今回の開発では、約2年半前から、ボーンチャイナに多く含まれる「リン酸三カルシウム」が肥料の重要な成分であることに着目。石川県立大学と共同研究し、肥料効果の検証に取り組み肥効を実証し、県や農林水産消費安全技術センター、農林水産省とも相談を重ねてきた。また、2021年12月1日に、「肥料の品質の確保等に関する法律」が施行され、法律面もクリアされた。
現在、日本で使用されているリンは、ほぼ海外、特に中国からの輸入に頼っており、輸入価格の高騰により肥料価格は大幅に上昇中。リン供給としても国内での供給増は大きな意味が在る。
同社によると、BONEARTHは、花や実を育てるのに特に有効で、安全性も高い。見た目にも優れ、観賞用園芸にも適しているという。まずは、同社工場の規格外品から原料として投入し、第2弾で、ホテル・レストランから回収した同社製品も投入していく。第三弾は、同社以外の製品も回収していく。
【参照ページ】世界初!洋食器のニッコー、捨てられる食器をリサイクルした肥料
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