国連環境計画(UNEP)は3月2日、ケニアのナイロビで開催された年次総会「国連環境総会(UNEA)」の第5会期第2部で世界の公害抑制と自然保護・回復に向けた14の決議を採択したと発表した。2021年2月にオンラインで開催された第1部の内容を踏まえ、自然を軸としたソリューション(NbS)、海洋プラスチック汚染、化学物質管理、鉱物資源などのテーマで決議がされた。
【参考】【国際】国連環境総会、各国政府が決議案提出。NbS、海洋プラ、鉱物資源、化学物質管理等
今回の総会は、持続可能な開発目標を達成するための自然への取り組みの強化をテーマに議論がされた。今回の総会で採択された14の決議のうち、特に重要な決議が3つある。
1つ目は、プラスチック汚染をなくすための法的拘束力のある国際条約制定を形成することを任務とする政府間交渉委員会(INC)の設立が合意されたこと。UNEPの事務局長であるインガー・アンダーセン氏は、これはパリ協定以来最も重要な多国間環境協定であると述べた。2024年末までに合意案を完成させるために、2022年中にINCの第1回会合を実施し、世界各地の知見やベストプラクティスを共有するためのフォーラムを開催する予定。
2つ目は、化学物質と廃棄物の健全な管理および汚染防止に関する包括的かつ野心的な科学政策パネルの設立が支持されたこと。閣僚宣言では、人類がこれまで化学物質と廃棄物の管理に失敗してきたことを認識し、使い捨てプラスチックと消毒用化学物質の広範な使用による新型コロナウイルスの大流行によって、この脅威がさらに悪化していることが指摘された。
3つ目は、持続可能な開発を支援するためのNbSに関する決議がされたこと。「生態系回復の10年」に基づいた生態系の保護、保全、回復、持続可能な活用、管理などについて、NbSの定義が合意された。
【参考】【国際】国連総会「生態系回復の10年」宣言。生態系破壊で世界的に作物生産量減退の危機
閣僚宣言では、人類の歴史上前例のない生物多様性の世界的減少と生息地の分断を止めることが緊急に必要であることが強調された。また、人類がワンヘルス・アプローチを採用し、自然との相互作用のパターンを見直さなければ、将来的にパンデミックやその他の健康リスクが発生するリスクがある認識を示した。
採択された14の決議は以下の通り。
- 法的拘束力のある国際条約制定に向けて、プラスチック汚染をなくすための決議
- 持続可能な消費と生産を達成するためのサーキュラーエコノミーの強化に関する決議
- 持続可能な湖沼管理に関する決議
- 持続可能な開発を支援するためのNbSに関する決議
- 持続可能でレジリエントかつ包括的な新型コロナウイルス後の復興における環境面に関する決議
- 生物多様性と健康に関する決議
- 動物福祉、環境、持続可能な開発に関する決議
- 持続可能な窒素管理に関する決議
- 持続可能でレジリエントなインフラに関する決議
- 化学物質と廃棄物の健全な管理に関する決議
- 化学物質と廃棄物の健全な管理と汚染防止により貢献するための科学・政策パネルに関する決議
- 鉱物および金属管理の環境面に関する決議文
- 地球環境概況の将来像に関する決議
- 衡平な地理的条件の原則に配慮した決議
【参照ページ】UN Environment Assembly concludes with 14 resolutions to curb pollution, protect and restore nature worldwide
【参照ページ】PROCEEDINGS, REPORT, MINISTERIAL DECLARATION, RESOLUTIONS AND DECISIONS UNEA 5.2
【参照ページ】A leap forward for environmental action
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