欧州委員会のフォンデアライエン欧州委員長は2月18日、EU-アフリカ連合(AU)サミットの中で、総額1,500億ユーロ(約20兆円)以上のアフリカへの大規模投資計画「グローバル・ゲートウェイ・アフリカ」を発表した。特に、再生可能エネルギー、持続可能な農業、医療、教育を重視する。
今回打ち出した政策は、EUが2021年12月に発表した新外交戦略「グローバル・ゲートウェイ」の一環。グローバル・ゲートウェイでは、米国、日本、ASEAN、インド、東欧、北アフリカ等の諸国と連携し、パリ協定や国連持続可能な開発目標(SDGs)を重視した対外外交で2027年までの7年間で最大3,000億ユーロ(約38兆円)を動員することを標榜していた。グローバル・ゲートウェイ・アフリカは第1弾の発表。3,000億ユーロ動員のうち半分をアフリカに投じる。
【参考】【EU】欧州委とEU外相、グローバル・ゲートウェイ外交戦略発表。中国の一帯一路に対抗か(2021年12月5日)
また同日、グローバル・ゲートウェイでは、政府からの支援だけでなく、民間投資も両輪の一つと掲げられている。今回のEU-AUサミットも、EU・アフリカビジネスフォーラム(EABF)の最後のセッションとして開催された。EABFでは20以上の協定が締結された。
今回のEABFは、欧州委員会、アフリカ委員会をはじめ、EUとアフリカの経済団体や主要機関らが、15,000人以上参加。「EUとアフリカのバリューチェーンの統合」「持続可能なエネルギー」「ヘルスケアと医薬品」「持続可能な農業・食品システム」「若者と起業家精神」等12のテーマについて議論がされた。
今回のEABFでは、健康、農業、クリーンエネルギー、若者とアントレプレナーシップ(起業家精神)、自動車等の分野をサポートするための20を超える協定が締結された。投資金額は、5.9億ユーロ(約750億円)以上。財政的コミットメントに加えて、公的機関と民間企業の構造的関係を強化する合意もされた。今後の支援は、EUの外交戦略「グローバル・ゲートウェイ」に沿って投資される。
【参考】 【EU】欧州委とEU外相、グローバル・ゲートウェイ外交戦略発表。中国の一帯一路に対抗か
健康分野への支援が最大となり、総額3億1,200万ユーロ(約400億円)となった。ドイツ政策銀行KfWは、ワクチンと医療製品の現地生産能力を開発し、パンデミックに対するアフリカ諸国の対応を強化するため、総額2億5,000万ユーロ(約320億円)を支援。フランス開発庁(AFD)は、新型コロナウイルスワクチンの調達のため5,000万ユーロ(約64億円)を支援。
他分野への支援には、農業分野は9800万ユーロ(約124億円)、クリーンエネルギー分野には7,300万ユーロ(92億円)、若者と起業家精神の分野に対しては5800万ユーロ(約74億円)、自動車分野は1200万ユーロ(約3.2億円)となった。
【参照ページ】Statement by President von der Leyen at the joint press conference following the 6th European Union-African Union Summit
【参照ページ】EU-Africa: Global Gateway Investment Package
【参照ページ】EU-Africa Business Forum 2022: private and public actors conclude agreements to accelerate Africa’s growth
【参照ページ】Africa-Europe Week: Strengthening cross-continent, people-to-people and business relations between both continents
【画像】EABF
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