石油ガス世界大手英シェルは2月28日、ガスプロムおよび関連事業者とのロシアでの合弁事業を全て終了させることを取締役会で決定した。ロシア事業から全面撤退する。前日には、BPがロスネフチ全株売却決定をしていた。
【参考】【イギリス・ロシア】BP、ロスネフチ全株売却決定。ロシア事業から撤退(2022年2月8日)
今回の発表では、同社が戦略事業として位置づけていたサハリン2液化天然ガス施設の持分27.5%、サリム石油開発の持分50%、ギダンのエネルギー事業も全て対象となる。さらに、ノルド・ストリーム2パイプライン・プロジェクト事業からも撤退する。同社によると、ロシア事業での関連非流動資産は2021年末で30億米ドル。減損が発生する見込み。
ガスプロムは、米国が発動した経済制裁の対象企業。実質的に国際的な取引ができない状態に陥っていた。
【参考】【国際】米欧日、ロシアへの経済制裁発動。ウクライナ侵攻や域内共和国の国家承認で(2022年2月25日)
同社のベン・ファン・ボルデンCEOは、ロシアのウクライナ侵攻に関し「欧州の安全保障を脅かす無意味な軍事侵略行為により、ウクライナで人命が失われたことに衝撃を受けており、遺憾に思う」と声明を出した。
日本への影響も大きい。サハリン2は、ガスプロムが50%と1株、シェルとガスプロムの合弁会社が27.5%-1株、三井物産が12.5%、三菱商事が10%出資しており、生産能力960万tのうち日本市場向けが約6割を占めていた。
ノルド・ストリーム2は、ロシアとドイツをバルト海経由でつなぐ天然ガスパイプライン。2021年9月10日に完工しており、ドイツ政府の稼働承認を待つ状態だったが、2月22日、ドイツ政府は、ロシアのウクライナ侵攻を理由に、稼働の無期限延期を決めていた。同事業への他の出資企業は、ガスプロム、ユニパー、エンジー、Gasunie、Wintershall Dea。
シェルは今回、2022年上半期に85億米ドルの自社株買いを実施し、2022年第1四半期には配当金を4%引き上げることも伝えた。
【参照ページ】Shell intends to exit equity partnerships held with Gazprom entities
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