米バイデン政権は2月11日、新たなインド太平洋戦略を発表した。中国への対抗意識を明確にした。同戦略では、インド太平洋地域の基本原則として「自由で開かれた地域」「コネクテッド」「繁栄」「安全」「レジリエンス」の5つを掲げた。
自由で開かれた地域としては、民主制度、自由な報道機関、活気ある市民社会を促進する他、財政の透明性、腐敗防止等も重要事項として定めた。また、空域や海域の国際法に基づく管理、サイバー空間での共通アプローチも打ち出した。
コネクテッドでは、オーストラリア、日本、韓国、フィリピン、タイとの同盟強化に言及するとともに、日本、インド、オーストラリアとのクアッド(日米豪印戦略対話)の強化とコミットメントへの実現、統一ASEANへの貢献、インドの継続的な発展と地域リーダーシップ発揮も重要とした。インド太平洋地域と大西洋地域との結びつきの強化、太平洋島嶼国と東南アジアでの米国の外国プレゼンスの拡大も盛り込んだ。
繁栄では、イノベーションの奨励、経済競争力の強化、高所得職の創出、サプライチェーンの再構築への投資を促進。今後、インド太平洋地域で15億人の中流階級が新たに生まれることに備え、米国との経済の結びつき強化を進める。
安全では、米軍の軍事力に頼らずに同盟国や関係諸国とのパートナーシップを通じて安全保障目標を達成する概念「統合抑止」を明確に打ち出した。その上で、台湾海峡の平和と安定と維持を明言し、中国を牽制。宇宙やサイバースペース等の新たな分野での軍事イノベーションもリードしていく。日本及び韓国と連携した朝鮮半島の完全な非核化や、米国沿岸警備隊のプレゼンス強化にも期待を寄せた。
レジリエントでは、世界の気温上昇を1.5℃に抑制するため、同盟国や関係国とともに、2030年および2050年の目標、戦略、計画、政策を策定していく。それを通じて、気候変動や環境悪化を原因とした地域の脆弱性を緩和する。また、新型コロナウイルス・パンデミックを収束させ、世界の健康安全保障を強化することも宣言した。
【参照ページ】FACT SHEET: Indo-Pacific Strategy of the United States
【参照ページ】INDO-PACIFIC STRATEGY
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