スイスで2月13日、動物実験禁止を問う国民投票が行われ、賛成20.9%、反対79.1%で反対が過半数をとり、否決された。スイスの制度では国民投票に加えて、過半数の州(カントン)からの支持も必要だが、23州すべてが賛成しなかった(26州のうち6州は半票しか持たない)。同じく国民投票にかけられたたばこ広告の規制強化は可決、印紙税とメディアへの資金提供に関する提案は否決された。
同事案は、動物権利活動家が提案し、動物を使った医療・科学実験を禁止するというもの。今回の国民投票が世界初の事例となる。スイスでの国民投票制度には、いくつかの制度区分があるが、今回の国民投票は、国民請願として立法を提起するもの。
同事案では、動物実験と動物実験を経て開発された製品の輸入の禁止を求めた。また、動物実験を伴わない研究には、現在の動物実験を伴う研究と同レベルの国の支援を受けることも要求。動物実験を用いたワクチンを含む新薬の開発が禁止される内容も含んでいた。医薬品や植物保護製品などの研究開発は制限され、企業や研究機関が海外に移転する可能性が示されていた。
賛成派は、動物実験は非倫理的で不必要であるとし実験の中止を求めていた。一方、反対派であるスイスの医薬品ロビー団体からは、動物実験の禁止による経済的影響が大きいという強い警告があった模様。
それ以外の国民投票事案では、たばこ広告の規制強化は全体の56.6%が賛成、15州が賛成多数となり可決。スイスではすでに、ラジオ、テレビでのタバコ広告や、特に未成年者を対象とした広告は禁止されているが、加えて報道、ポスター、インターネット、映画館、キオスク、イベントでのたばこ広告が禁止。電子たばこでも同様。またたばこ会社がイベントのスポンサーになることも禁止される。一方、成人のみを対象とした広告や、未成年者がアクセスできない場所での広告は引き続き許可される。連邦全州議会と連邦議会は行き過ぎとして今回の請願案に反対していた。
また、大企業の株式発行時に、100万スイスフランを超える発行金額の1%を課税する制度を廃止する国民投票事案は、全体の62.7%が反対、1州のみが賛成多数で否決された。メディアへの補助金提供拡大に関する国民投票事案も、全体の54.6%が反対、16.5州が反対し、否決となった。
【参照ページ】Swiss reject ban on animal testing in referendum
【参照ページ】Popular initiative "Yes to the ban on animal and human experiments – Yes to research that brings safety and progress"
【参照ページ】Volksabstimmung vom 13.02.2022
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