国際的な気候変動情報開示推進NGOのCDPは2月10日、サプライチェーンプログラムの2021年度報告書「グローバル・サプライチェーン報告書」を公表した。CDPの報告書は、従来からのCDPプログラムである「気候変動」「ウォーター(水)」「フォレスト(森林)」の3つを、サプライチェーンという観点で改善していくためのプログラム。
CDPサプライチェーンプログラムの2021年度の参加企業は207社。2020年の154社から大きく伸びた。購買金額の総計は約5.5兆米ドル(約630兆円)で、合計でのサプライヤー数は23,000社を超える。今回はそのうち11,457社以上がCDPの調査票に回答した。
プログラムそのものを牽引するプレミアム・メンバーまたはリーダー・アホールド・デレーズ、アルファベット、アストラゼネカ、バークレイズ、バイエル、バンク・オブ・アメリカ、デル、デロイト、ダウ、エレクトロラックス、エスティーローダー、フレックス、ゴールドマン・サックス、GSMA、グルポ・ビンボ、インペリアル・ブランズ、JTインターナショナル、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ジュニパー・ネットワークス、フィリップス、レゴ、ロレアル、LinkedIN、マクドナルド、マイクロソフト、nrg、NIKE、ノードストローム、オーステッド、ペイパル、セインズベリー、シュルンベルジェ、Signify、スタンレー・ブラック&デッカー、コカ・コーラ・カンパニー、ターゲット、ヴァージンマネー、ウォルマート、ウェルズ・ファーゴ。日本たばこ産業子会社のJTインターナショナルを除けば、日本企業はいない。
通常の企業会員では、日本企業からは、味の素、富士通、本田技研工業、花王、環境省、日本電気(NEC)、日産自動車、野村総合研究所、NTTデータ、積水化学工業、シグマ、トヨタ自動車、横浜ゴムの13社・機関が参画。野村総合研究所、NTTデータ、シグマの3社が2021年から。
参加企業は、サプライヤーに対し、気候変動や水などの環境リスクの開示を求めており、気候変動対策に強いサプライチェーンを構築することを目指している。参加企業と参加企業に指名されたサプライヤーは、毎年CDPに対して気候変動やウォーター、フォレストの質問票に回答し、情報を開示することが求められる。
今回気候変動に関する調査票に回答したサプライヤー企業数は全部で11,418社(回答率49%)。同様に、ウォーターに関する調査票に回答したサプライヤー数は2,726(回答率62%)。フォレストに関する調査票回答社数は548社(回答率67%)。ウォーターは2013年、フォレストは2017年に調査対象となったため、浸透が遅れている。
今回の調査で、スコープ1の算出を行っている企業は71%、スコープ2では55%に留まっており、サプライヤーレベルでは情報開示の段階でまだ課題を抱えている。フォレストでも、トレーサビリティの状況を開示している企業率は、木材で73%、パーム油で85%、牛肉で82%、大豆で76%。さらに加工事業者では、農業・畜産事業者までのトレーサビリティ導入では半数を大幅に割り込む。
削減状況では、二酸化炭素排出2億3,100万tの削減につながる実績も上げた。一方、サプライヤーの製品ライフサイクルでの排出量を報告したのはわずか2%。今後サプライヤーでの排出量の把握が必要になってきている。
【参照ページ】Engaging the chain: driving speed and scale
【レポート】Global Supply Chain Report 2021
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