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【日本】公取委、証券会社のIPOディスカウントに「競争法違反のおそれ」。業界慣行にメス

 公正取引委員会は1月28日、新規株式公開(IPO)での株式売出で、主幹事証券会社が、投資家に有利、発行体に不利になるような値付慣行を行っている事に関する実態把握報告書を発表。競争法違反のおそれがあるとの見解を示した。

 今回の調査は、2021年に日本政府が閣議決定した「成長戦略実行計画」の中で、日本のIPOについて、セカンダリー市場での初値が、公開価格を大幅に上回っており,公開価格で株式を取得した特定の投資家が差益を得るが,新規上場会社には直接の利益が及ばず,同じ発行株数でより多額の資金調達をし得たはずであったことが指摘されたことに基づくもの。IPOでの価格ディスカウント慣行にメスが入る形となった。

 今回の調査では、過去1年間にIPOを実施した企業と、証券会社の双方が対象となった。IPOを実施した回答企業のうち全てが、IPOディスカウントがあったと回答。しかし、ディスカウント率の算定根拠について主幹事証券会社から具体的かつ説得的な説明を受けたとする企業は一部にとどまった。

 想定発行価格の設定では、機関投資家へのプレヒアリングが法令等で禁止されていないことを明確化し、周知した上で、証券会社は、機関投資家が対応可能であればプレヒアリングを行い、投資家の需要を踏まえた想定発行価格を設定することが,競争政策上望ましいとした。その上で、証券会社は、合理的根拠を発行体に説明した上で、協議の上で発行価格を決めることが望ましいとした。

 仮条件設定後に、仮条件の上限額を上回る公開価格の設定については、証券会社のうち約27%が、金融商品取引法等の法令や日本証券業協会の自主規制規則によって禁止されていると誤認。実際に、上限を上回る公開価格を設定したケースはゼロだった。一方、発行体側は上回る価格設定も望んでいることも明らかとなった。仮条件の訂正についても、「不可能」との誤った説明を受けていた企業が6.8%もあった。

 加えて、公開価格設定プロセスに、個人投資家向け営業部門の意向を反映させることについても、利益相反の観点から、不当な価格形成を生み出すことを防ぐべきとした。むしろ、発行体がセカンドオピニオンの聴取を希望する場合には、証券会社は、これを阻害しないことが、競争政策上望ましいとした。

【参照ページ】新規株式公開(IPO)における公開価格設定プロセス等に関する実態把握について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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