国際環境NGO世界資源研究所(WRI)と、アパレル世界大手8社が加盟する団体アパレル・インパクト・インスティテュート(aii)は1月21日、気候変動に関し、アパレル業界での科学的根拠に基づく二酸化炭素排出量削減のロードマップを発表した。
今回発表したロードマップは、野心的な削減目標を設定し、実際に削減を実施してくためのステップを示したもの。アパレル業界での世界全体での排出量は2019年時点で1.025Gt。しかし今後の経済成長により、このままのペースでは2030年までに1.588Gtにまで伸長する見通し。今回示したステップを、サプライチェーンを含めて業界全体で実現すれば、1.5度目標の達成に必要な削減分の60%以上を実現することができるという。
ロードマップでは具体的に6つのアクションを提示した。まず、Sustainable Apparel Coalition(SAC)のHigg Indexへの参画が重要とした。Higg Indexは、ブランド、メーカー、素材等の観点からサプライチェーン上の各企業の二酸化炭素排出量算出を進めており、これらの業界イニシアチブを通じて、各社が削減で協働することが重要とした。
続いて、生産工場での省エネ。ロードマップでは、業界の専門家との議論等を踏まえ、現実的なラインとして単位生産量当たりの原単位で15%の効率改善を想定した。
3つ目は、ブランド企業が、生産委託事業者に再生可能エネルギー電力の導入に関するインセンティブの付与すること。ブランド企業側が、率先して生産委託事業者に経済的メリットを付与することで、生産委託事業者が再生可能エネルギー発電プロジェクトに投資したり、電力を転換する動きが加速できるとした。
4つ目は、素材の転換。ブランド企業は、再生ポリエステル、再生コットン、オーガニックコットン党、持続可能な素材の使用率を高めるコミットをすべきとした。特に、アパレル業界団体Textile Exchangeが提供している代替素材検討ツールや、HiggのMSI(定量的な素材影響データ)の活用を推奨した。また、綿花生産では、肥料や水の使用量を削減し、綿摘や灌漑での再生可能エネルギー電力の導入も推奨した。
5つ目は、次世代素材の開発や、石炭に代わる熱エネルギー転換を実現するための、大規模なイノベーション投資。そして6つ目は、消費を抑制するための、二次流通やレンタル市場の強化。新製品の販売から収益を切り離していくビジネスモデル転換を提示した。
アパレル・インパクト・インスティテュートに加盟している企業は、GAP、リーバイ・ストラウス、バーバリー、ニューバランス、コロンビア、プーマ、フィリップ・バン・ヒューゼン(PVH)、ターゲット。
【参照ページ】A Roadmap to Net-zero Emissions for the Apparel Sector
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