欧州委員会直下の専門家会合「サステナブルファイナンス・プラットフォーム」は1月21日、欧州委員会の要求に応じ、天然ガス及び原子力エネルギーでの「タクソノミー補完的委託法令(CDA)」草案に対する答申結果を発表した。
【参考】【EU】欧州委、天然ガスと原子力のEUタクソノミー最終協議開始。1月中に最終採択へ(2022年1月4日)
同答申では、欧州委員会が発表した草案は、EUタクソノミー規則との整合性がないと厳しく指摘。多くの委員から深刻なリスクが指摘されたという。同プラットフォームは57人の専門家委員で構成されている。
具体的には、原子力発電に関しては、「著しい害なし(DNSH)」原則に反するとし、タクソノミーからの除外を答申。天然ガスに関しては、EUタクソノミー規則で定めるライフサイクル全体で1kWh当たり100gの二酸化炭素排出量基準を堅持すべきとし、例外的に天然ガスを容認しているように受け止めらかねない基準を却下した。万が一、天然ガスを例外的に認めたとしても、あくまでも移行措置的な「黄色」のステータスとし、グリーンでないことを明確にすべきとした。
また、草案で提示したように、天然ガスと原子力を通常のグリーンとは異なる位置づけにする場合は、金融機関側の需要とは異なるとの立場を踏まえ、ほぼ確定してきている金融機関側の情報開示ルールをあらためて強化する修正措置をとるべきとした。
全体としては、欧州委員会に対し、今回の示した答申文書を、十分に考慮し、草案を大きく修正すべきと苦言を呈した。
サステナブルファイナンス・プラットフォームの答申は、欧州委員会が定めるCDAの公式決定プロセスの一環。今回の答申内容により、欧州委員会は草案の変更が求められる形となった。欧州委員会は、当初、同プラットフォームに対し、1月12日までの答申を求めていたが、その後に1月21日に期限を延期していた。
また、EU加盟国サステナブルファイナンス専門家グループからの答申も1月21日に期限が設定されていた。ドイツ政府からは、原子力発電は、CDAから除外するよう公式に要請。一方、天然ガスについては、バイオメタンや水素への移行には時間を要するとし、基準を緩和するよう求めた。反面、機関投資家は、天然ガスは容認できないとの声明を発表している。
【参考】【EU】機関投資家370以上、EUタクソノミーから天然ガス排除を要求。運用資産総額6500兆円(2022年1月20日)
【参照ページ】Response to the Complementary Delegated Act
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