全国農業協同組合連合会(JA全農)、全国複合肥料工業会、日本肥料アンモニア協会の3者は1月21日、緩効性肥料でのプラスチック被膜殻の海洋プラスチック汚染問題に対処するため、流出抑制とともに、新技術開発と普及でのプラスチック被膜に頼らない農業を目指すと発表した。日本の農業界にとって、大きな転換点となる。
今回の発表では、日本政府が2019年5月に策定した「プラスチック資源循環戦略」と「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」に基づき、2021年1月に「バイオプラスチック導入ロードマップ」が策定されたことを背景として説明。さらに、2021年6月に制定された「プラスチック資源循環法」でも、流出抑制や生分解性素材等の開発が盛り込まれていることにも触れた。
緩効性肥料は、プラスチック等で被覆加工することで、作物の生育に合わせて肥効特性を適切にコントロールする肥料。今回の発表でも、日本では幅広く活用されており、生産性の高い農業経営に不可欠になってきたとも言及されている。肥料の投入量や過剰な環境投入を防げる一方、プラスチック汚染問題を孕んでいた。
今回発表の施策では、まず「2030年にはプラスチックを使用した被覆肥料に頼らない農業に。」を理想に掲げた。そのため、肥料製品に被膜殻がプラスチック汚染の温床となることを周知する表示を明記。パンフレット等でも周知を行う。また、流出抑制の知見をQRコード等を包装袋等から閲覧できるようにする。同時に、農林水産省に対し、肥料に使用されている被覆原料の原料が明確になるよう要請する。
加えて、プラスチック被膜以外の緩効性肥料と省力追肥の組み合わせ等の現行技術による代替施肥の実証と普及を進めつつ、プラスチック使用量の削減にもトライする。また、生分解性樹脂等を活用した被覆肥料の開発も進める。
【参照ページ】緩効性肥料におけるプラスチック被膜殻の海洋流出防止に向けた取組方針
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