投資運用世界大手米ブラックロックのラリー・フィンクCEOは1月18日、投資先企業のCEOに向けた公開書簡2022年版を発表した。フィンクCEOは毎年このタイミングで、次の株主総会シーズンを意識した書簡を出しており、通称「フィンク・レター」とも呼ばれている。
昨年のフィンク・レターでは、重要テーマとして、気候変動と社会格差を取り上げていた。今年のフィンク・レターでは、「ステークホルダー」という単語を何度も用い、企業にとってステークホルダーを重視することで、今後数十年にわたって魅力的なリターンを生み出すことが可能との見方を強調した。
以前からキーワードとして挙げていた「ステークホルダー資本主義」については、政治思想やイデオロギー、「開眼」ではなく、むしろ資本主義の原理に基づき、公正な利潤追求を強化することで、社会にサステナビリティをもたらすという考え方を鮮明にした。この発想は、東アジア圏でも知られる「経世済民」を想起させる。
フィック氏は今回、ステークホルダー資本主義について、「あなたと、あなたの会社が繁栄するために依拠している従業員、顧客、サプライヤー、コミュニティとの間の互恵的な関係によって駆動される資本主義であり、これこそが資本主義の力」と言及。資本主義は、絶え間ない再発明のプロセスであり、企業は状況変化に応じて絶えず進化させる必要があり、実現できなければ、競合他者に取って替わられる存在だとも述べた。
同社が気候変動に着目している理由については、環境活動家だからではなく、資本家であり受託者責任があるからと強調。社会格差に関しては、新型コロナウイルス・パンデミックによって社会の二極化に拍車をかけていることは、企業にとって、政治やメディアに利用される危険性があるからこそ、むしろ積極的に情報発信をする必要があるとした。特に、従業員は、政府やメディア、NGOよりも、雇用主の企業を信頼しているとの外部統計も参照し、企業やCEOは従業員に積極的に社会のファクトを伝えていくべきとした。
【参照ページ】The Power of Capitalism
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