中国工業情報化部、科学技術部、生態資源部は12月21日、合同で「第14次原材料工業発展規画」を発表した。研究開発や生産能力削減に加え、グリーン化、デジタルトランスフォーメーション(DX)、サプライチェーンの安定性強化の合計5つを重点施策とした。同政策の「原材料」には、石油化学、鉄鋼、非鉄金属、建材、新素材等、あらゆる原材料が含まれる。
研究開発強化では、イノベーションのエコシスムの強化のため、重要テーマを定めた上で、産官学連携を強化。ブランド、品質、認証制度も改善していく。中国政府は、中国での原材料生産において、ローエンド原材料は余剰、ハイエンド原材料は欠乏という構造的課題を重く受け止めている。またコア技術がない点も課題視しており、研究開発強化を急務と位置づけている。2025年の目標は、基幹産業の収益に対する研究開発投資の割合を1.5%にまで高める。
生産体制強化では、生産能力の合理化を進め、生産能力の新設を厳しく管理。長期的に生産能力の削減へと進める。特に、粗鋼、セメント、その他のコモディティ製品の生産能力は増加することはないと言い切った。主要原料バルク製品大手企業の強化、中小企業の育成、バリューチェーンでの連携強化による産業シナジーの促進も盛り込んだ。2025年目標は、エコシステムの優位性とコア競争力を持つ先進企業を5社から10社程度創出し、原材料の分野で5つ以上の世界的な先進製造業クラスターを形成すること。
グリーン化では、石油化学・化学、鉄鋼、非鉄金属、建材等の主要産業で、二酸化炭素排出量の総量をピークアウトさせる実施計画を策定。主要企業が率先して、省エネ・低炭素型の産業転換を進めるよう奨励する。生産でもグリーン化を進める。廃棄物リサイクルを行うサーキュラーエコノミー化も大きく掲げ、リサイクルと素材開発を一体的に進める「原材料産業統合開発パーク」も創設する。2025年目標は、エネルギー消費量で、鉄鋼は1t当たり2%減、セメントはクリンカー当たり3.7%減、電解アルミニウムでは5%減。大気汚染物質も原単位と総量の双方で減少させる。
DXでは、5G等の新世代ITを活用し、デジタルインフラを構築。生産だけでなく企業マネジメント全体でのレベルを引き上げる。実践では、「チェーン・マスター」と呼ばれる中核企業が産業全体のプラットフォームを構築していくことを奨励。個別企業単位での施策ではなく、産業全体での転換を一気に図る。2025年目標は、知的生産能力成熟度がレベル3以上の企業を20%以上に、主要プロセスのデジタル化率を70%以上にまで引き上げる。インテリジェント製造の実証工場も100ヶ所以上、産業インターネット・プラットフォームも10以上建設する。
サプライチェーンの安定化では、資源保証能力の向上、国内鉱物資源の合理的開発、多様な資源供給ルートの拡大、「都市鉱山」資源の開発、鉱物資源分野での国際協力の推進を挙げた。サプライチェーンの不安定化による原材料価格上昇が、サプライチェーンの下流企業の経営を圧迫していることも問題視した。2025年までに、サプライチェーンのウィークポイントの指数を大幅に減少させるとともに、人口密度の高い都市部にある有害化学物質工場の移転または転換を完了させる。
今回、中国政府は、上記の目標達成を実現するための横串の施策として4つも発表した。まず、各ステークホルダーに中間目標制度を導入し、進捗を管理する。続いて、財政、税制、金融等の施策も動員し、政策間でのシナジーを創出する。3つ目は、技術人材育成で、大学での教育強化、産業人材データベースの構築等を盛り込んだ。4つ目が、メディアを通じた広報・報道の強化。
【参照ページ】三部委关于印发“十四五”原材料工业发展规划的通知
【参照ページ】《“十四五”原材料工业发展规划》解读
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