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【国際】国連環境計画、海洋プラ汚染で包括報告書。将来巨大な経済・健康リスク

 国連環境計画(UNEP)は2021年10月、プラスチック汚染に関する包括的な分析レポートを発表した。プラスチック問題は気候変動の問題でもあることを強調しながら、不要・回避・問題のあるプラスチックそのものの大幅な削減を求めた。

 今回のレポートは、2022年の国連環境総会の議論に反映される重要な報告書。同会議では今後の対策の方向性が話し合われる予定。

 同レポートは、海洋や水系のプラスチック汚染は、近年急増しており、2030年までに2倍以上に増加すると予測。ライフサイクル分析からは、2015年のプラスチックによる二酸化炭素排出量は、1.7Gtもあり、このままのペースでは2050年には世界の排出量全体の15%を占める6.5Gtにまで増えると見通した。

 生分解性プラスチックやバイオプラスチックへの切り替えについては、信頼性の高いラベリング制度が必要との問題意識を示した。生分解性に関しては、実際に生分解されるまでに長期間かかるものがあることや、バイオプラスチックも通常の石油由来のプラスチックと同様のプラスチック汚染問題を引き起こすことを指摘。消費者の間でも生分解性プラスチックやバイオプラスチックがどこまで推奨されるか不安視する声も多く、適切なラベリング表示の確立を求めた。

 リサイクルに関しては、プラスチックを廃棄せずに、リサイクルすることの重要性を強調。現在の課題としてもリサイクル率が低いことが、プラスチック汚染問題の原因の一つとした。解決策としては、プラスチックのリサイクルに関しても信頼性の高いラベル表示制度の確立と、トレーサビリティ制度のテクニカル要件の確立を早急に行うよう求めた。また、再生素材の価格競争力の確保、公式・非公式双方での廃プラスチック管理制度の向上も重要とした。

 同報告書は、海洋ゴミの85%がプラスチックであり、2040年までに海洋に流出するプラスチック汚染の量は現状から3倍規模の年間2,300万tから3,700万tにまで増えると危惧。海洋生物だけでなく、マイクロプラスチックは人体にもホルモンの変化、発達障害、生殖異常、癌等を引き起こす可能性があると警鐘を鳴らした。

 経済影響では、海洋プラスチック汚染による観光や漁業への影響は、清掃等の他のコストと合わせ、2018年に世界全体で60億米ドルから190億米ドル以上と見積もった。また、政府が企業に拡大製造者責任を求めた場合、2040年までに企業にとって年間1,000億米ドルの財務リスクが発生する可能性があるという。さらに、国内外での違法な廃棄物処理の増加につながるリスクも指摘した。

【参照ページ】Comprehensive assessment on marine litter and plastic pollution confirms need for urgent global action

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