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【日本】ヒューマンライツ・ナウ、水産関連11社の人権アンケート結果発表。対応に大きな差

 国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は12月10日、日本の水産関連会社11社に対し実施した人権方針の内容及びサプライチェーンを含めた方針のアンケート結果を発表した。

 今回の調査は、同NGOが2021年1月に実施したIUU漁業対策に関する調査報告書に続くもの。対象となった企業は、マルハニチロ、日本水産、極洋、横浜冷凍、イオン、セブン&アイ・ホールディングス、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅の11社。但し、極洋と横浜冷凍は回答しなかった。

【参考】【日本】人権NGOヒューマンライツ・ナウ、IUU漁業対策で水産大手11社に調査票送付。中国での奴隷労働受け(2021年1月23日)

 サプライヤーの評価に関しては回答した9社全てに関し、一定程度サプライヤーを把握してきていることは歓迎された。例えば、イオンは、商品仕様書の管理により、一次サプライヤーが仕入れる原材料の生産者まで把握。三菱商事は大部分の商品において漁獲者や生産者まで把握しており、住友商事は、取扱い水産物のうち売上の大半を占めるベトナム産エビやペルー産イカについて、二次・三次サプライヤーまで把握。伊藤忠商事も、原料魚における漁船からのトレースや加工品における加工場からのトレースが可能な体制を構築していることがわかった。

 一方、セブン&アイ・ホールディングスは、一次サプライヤーまでの把握にとどまり、二次・三次サプライヤー及び原材料調達先の労働環境を把握していないため、今後の課題として認識し、改善に努めるとしている。また、マルハニチロ、日本水産、三井物産、丸紅も、漁獲者や漁船に至るまでのトレーサビリティが十分ではないと考えられるとした。

 しかし、サプライヤーリストの公表を行っている企業はゼロ。同NGOは、公開が望まれるとした。

 人権方針については、9社全てが、サプライヤー行動規範などを通じて人権を尊重するよう求めている点は評価できるとした。しかし、方針の実行面での課題を指摘した。例えば、セブン&アイ・ホールディングスは、プライベートブランド(PB)商品の製造委託先に対し、チェックシートによる調査を行ったうえで、海外工場のうちリスク管理の観点から特に重要であると判断した工場(セブンプレミアムの製造委託先工場及びグループ各社のプライベートブランド商品を製造する中国、東南アジア(13か国)の製造委託先工場)及び国内工場の一部について、第三者機関によるCSR監査を毎年実施している。具体的には、工場に訪問し、現場・書類・データの確認に加え、管理者や労働者へのインタビューも実施している。

 一方、マルハニチロは、2020年度に調査票の送付によるサプライチェーン調査を実施したものの、現時点での訪問調査は未了であり、サプライヤーへのヒアリングや改善依頼は今後検討する予定と回答するにとどまっていた。また9社全てに対し、サプライヤーの調査やモニタリングは不十分であり、漁船乗組
員の労働者に対するインタビューを含む調査を拡充すべきと提言した。

 人権デューデリジェンスについては、伊藤忠商事以外の8社は人権デュー・ディリジェンスを実施しているが、伊藤忠商事は、2020年から人権デュー・ディリジェンスを開始しているものの、公表情報によると、水産業は未実施となっているという。人権デュー・ディリジェンスを実施した8社については、イオンは、方法及び結果それぞれにつきある程度具体的な開示を行っているが、マルハニチロは「国別及び魚種別に人権リスクのスクリーニングをし」たとのみ開示されており、開示が不十分とした。

 救済メカニズムでは、サプライヤーの労働者がアクセスすることができるグリーバンス制度を設置している会社は、イオンとセブン&アイ・ホールディングスの2社のみ。他にマルハニチロだけは、漁船上の労働者がアクセス可能な制度を一部設置していた。

【参照ページ】【報告書】日本の水産業関連会社に対するアンケート調査結果および報告書の公表

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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