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【EU】欧州委、EU市民の生涯学習強化で制度整備へ。ギグワーカーの法整備も

 欧州委員会は12月10日、生涯学習(リカレント教育)に関する政策案を提示した。最終的にEU加盟国閣僚級のEU理事会で加盟国向けの勧告の形で採択される。EU首脳は5月、ポルトでの首脳会談の中で、「欧州社会権の柱」アクションプランとして、2030年までに全成人の60%が毎年トレーニングに参加するという目標を策定。今回、その手段を固めた。

 欧州委員会は、社会人研修は、個人に機会を提供し、不確実な時代にセーフティネットを提供し、インクルージョンと社会的地位の向上を促進し、経済成長とイノベーションに必要なスキルを持った労働力を提供するとみている。そのため、EUが掲げるデジタルとグリーンの双方でのトランスフォーメーションの成功には、労働者の適切なスキル教育が不可欠と判断。一方、一度社会人になると定期的な教育機会に参加する人は少ないため、生涯学習に目標を定め、普及させようとしている。

 今回の政策は、「個人学習アカウント」と呼ばれるEU市民毎に提供されるスキル学習カードと、「マイクロクレデンシャル」と呼ばれる修了認定書発行が柱。個人学習アカウントは、習得したスキルを記録するためのデジタル帳簿だが、同時に各加盟国に対し、教育パートナーと協働し、修学機会の提供、資金の提供、休暇等の時間の創出を求めている。背景には、生涯学習には、動機、時間、資金の3つが障壁にとなっていることがある。

 マイクロクレデンシャルは、大学等が発行する学位や修了証明書までいかずとも、短期コースや短期トレーニング等に対し発行する簡易認定証。そのため、今回の政策では、加盟国に対し、マイクロクレデンシャルの共通定義、標準要素、設計と発行に関する主要原則を提起している。一定の品質を担保することで、市場での信頼性を確保する考え。マイクロクレデンシャルも、個人学習アカウントに記録される。

 また、欧州委員会は12月9日、ギグワーカー(オンラインプラットフォーム上で契約労働者として勤務する人)を保護するため、労働権と社会保障に関する新たなEU指令案も提示した。今後、欧州議会及びEU理事会との調整に入る。

 今回のEU指令案では、まず、業務委託ではなく労働契約とみなされる基準を示した。これにより、一定の水準のギグワーカーが、労働権や社会保障を得られるようにする。また、労働契約ではないと主張する挙証責任をプラットフォーマー側に課した。加えて、業務委託契約ギグワーカーに対するEU競争法の適用ガイドラインに関しても、同日からパブリックコメントの募集を開始した。

 さらに、労働手配のデジタルプラットフォームでのアルゴリズム使用に関しても透明性の規制をかける。これにより、労働条件の尊重状況をモニタリングし、AIによる判断に異議を唱える権利を労働者側に保証する。これの規制に関しては、労働契約と業務委託契約のいずれのギグワーカーに対しても適用される。

 また、労働手配のデジタルプラットフォーマーに対する当局のデータアクセスを用意にするため、デジタルプラットフォーマーに対し当局への報告義務も課す。

【参照ページ】Commission takes action to improve lifelong learning and employability
【参照ページ】Commission proposals to improve the working conditions of people working through digital labour platforms

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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