【国際】マクドナルド、コカ・コーラ等、問題あるプラごみ2018年比57%削減。WWF、2021年版進捗状況報告

　国際環境NGO世界自然保護基金（WWF）は12月8日、2021年版透明性レポートを公表。企業団体のプラスチック廃棄物削減イニシアチブ「ReSource:Plastic」に加盟する中核企業5社の「問題あるプラスチック」廃棄物量が、2018年から2020年にかけて57%削減されたと発表した。

　同イニシアチブは、2019年5月に発足。中核企業メンバーには、キューリグ・ドクター・ペッパー、マクドナルド、P&G、スターバックス、コカ・コーラ・カンパニーが名を連ねる。

【参考】【国際】WWF、プラごみ削減イニシアチブ「ReSource:Plastic」発足。P&G、マクドナルド、コカ・コーラ等主導（2019年5月17日）

　問題あるプラスチックとは、不要なもの、素材やデザインの固有性によりリサイクル・堆肥化が困難なもの、特定の環境リスクを抱える使い捨てのものと定義。今回発表のレポートでは、ポリスチレン（PS）、発泡スチロール（EPS）、ポリ塩化ビニル（PVC）、小型プラスチック等が該当する。

　同レポートでは、プラスチック消費量の前年比での変化を調査。WWFが重視する「不要なプラスチックの廃止」「必要なプラスチックの持続可能な原料からの製造」「リサイクル率の倍増」の3指標に関する進捗状況をモニタリングし、推奨アクションと優先順位付けを提言する。

　2021年版レポートには、2020年に同イニシアチブに加盟した企業アムコール、コルゲート・パーモリーブ、キンバリークラークの3社に関するデータも掲載。不要なプラスチックの廃止を中心に、再利用性の向上に伴う使い捨てプラスチック需要を抑制、加盟企業らの再利用システムに関するガイダンス開発イニシアチブ「Consumers Beyond Waste」への参画等、好調な進捗を見せていると分析した。

　一方、再生素材の使用割合は、2018年から2020年に7.8%から9.6%まで高まっているものの、緩やかな改善に留まるとも指摘。リサイクル素材サプライチェーン構築に向けた継続的な投資と、対応の加速を求めた。また、ポリプロピレン（PP）回収・リサイクル推進イニシアチブ「Polypropylene Recycling Coalition」が、米国内での再生ポリプロピレン供給に対する助成金を受けたことや、米国飲料協会のPETリサイクルの近代化に向けた1,250万米ドル（約14億円）の拠出等、大きな機会が生まれていると語った。

【参考】【アメリカ】環境NGO、ポリプロピレンのリサイクル・イニシアチブ発足。消費財や化学大手が参画（2020年7月13日）

　2022年に向けた提言としては、プラスチック削減・代替・再利用等のビジネスモデルのイノベーションを通じ、不要なプラスチックの廃止を明言。再利用スキームの実装に向け集団的アクションを行うことで、プラスチックの使用と廃棄方法を根本的に変革する可能性があると強調した。ReSource:Plastic加盟の8社に対しては、再利用スキームを実証段階から上市へ移行するよう求めた。

　またWWFは、標準化されたデータや、プラスチック汚染に関する世界的な条約の必要性にも言及。ReSource:Plastic加盟には、拡大生産者責任（EPR）等の政策介入を支援することも求めた。

【参照ページ】ReSource: Plastic Member Companies Eliminated More Than Half of Their Problematic Plastic From 2018-2020; Waste Infrastructure Posed Challenges to Increasing Recycled Content

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所