国連責任投資原則(PRI)は12月6日、税の公平性に関し、PRIが署名機関に推奨することを検討している内容を発表した。国際的に最低法人税率が合意される画期的な時代背景の中で、機関投資家の間でも、税に関する考え方の整理が本格化している。
【参考】【国際】136ヶ国・地域、OECD/G20の最低法人税率15%及びデジタル課税に最終合意。画期的(2021年10月9日)
PRIは今回、投資家の間での税に関する見方には3つあると説明した。
- 税の効率性:利益の最大化のために、企業は納税を最小化すべき
- 納税の責任:責任ある納税計画を実行するため、たとえ合法だとしても、貪欲な納税最小化は避けるべき(租税回避行為は長期的な株主価値に悪影響を及ぼし、優れたリスク管理とガバナンスの観点から望ましくない)
- 税の公平性:税の効率性や納税の責任だけでなく、公平な税が創出する経済・社会便益までも考慮すべき
加えて、税の公平性に関し、一般的には「税の目的を経済的・社会的な目的と調和させ、税コストが社会の中で公平に分配されることを保証する公共政策の実行的な設計」と説明。その上で、税による公共サービスにより、社会や経済の発展が可能になることから、「不平等の拡大に対処し、医療やインフラ等の基礎的公共サービスへのアクセスを確保し、サステナビリティ目標を達成するために十分な歳入を確保する上で、税の公平性は極めて重要」とした。
今回のペーパーは、税が引き起こす利益搾取の側面だけでなく、税がもたらしているシステミックな便益にも、機関投資家は留意すべきという見方を強調している。そして、税の公平性のためには、個々の政府、企業、投資家、受託者が、協調して、グローバルな目標に役立つ方法で税の実務を再整備することが必要と伝えている。
PRIは、今回のディスカッションペーパーに対し、署名機関や他のステークホルダーからの意見を募集。今後、署名機関向けのガイダンスやモデルポリシーの策定、各国政府へのアドボカシーを行っていく考え。
【参照ページ】What is tax fairness and what does it mean for investors?
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