欧州司法裁判所(ECJ)は12月21日、プラスチックに使用される化学物質ビスフェノールA(BPA)に関する訴訟で、規制強化を決めた欧州化学品庁(ECHA)の判断を支持。原告のプラスチック業界団体PlasticsEuropeの訴えが棄却され、敗訴した。
BPAは、一部の食品容器のコーティング剤として使われており、人体への悪影響を及ぼす懸念から含有量が制限されてきた物質。しかし近年、従来認められてきた許容量が緩すぎるとして、大幅に許容含有量を引き下げる規制が欧米で検討されはじめていた。
今回の訴訟は、欧州化学品庁は2017年、フランス当局による科学的調査の結果、BPAが内分泌系に有害との結果が出たことに基づき、BPAをREACH規則の対象となる高懸念物質(SVHCs)候補物質リスト(Candidate List)に指定。しかし、PlasticsEuropeは、決定を覆すため、提訴。2019年には、BPAの生殖毒性に基づく異議申立てでは最初の敗訴。同年、ECHAのSVHC指定の科学的手法に異議を唱えた2つ目の訴訟でも敗訴。今回は2つ目の訴訟の控訴審に該当し、訴えが棄却された。一方、2020年には、野生動物に対する内分泌撹乱作用に関連した異議でも敗訴したが、現在控訴審中。
【参考】【EU】欧州化学機関(ECHA)、ビスフェノールAとPFHxSをSVHC候補物質リストに追加(2017年7月6日)
本訴訟では、環境法弁護士NGOのClientEarthもECHAの判断を支持し、法廷闘争に参加。今回のECHA勝訴を歓迎した。
BPAは、すでにフランスでは、全ての食品容器・容器、調理器具への使用が禁止されている。日本では、欧米での議論により、厚生労働省も2010年に食品健康影響評価を食品安全委員会に依頼したとホームページで説明して以来、情報の更新がない。
【参照ページ】JUDGMENT OF THE COURT
【参照ページ】ビスフェノールAについてのQ&A
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