欧州委員会は12月14日、欧州グリーンディール戦略に基づき、モビリティのカーボンニュートラル化とデジタル化を進める4つの政策の柱を発表した。鉄道や内陸水路の強化や、EV充電ステーションや水素補給ステーション等のインフラの整備、新たなデジタル技術の展開の支援、効率的な複合輸送システムを進める。実現すると2040年までに、交通・輸送での二酸化炭素排出量の90%削減が実現できるという。
まず、鉄道、内陸水路、近海航路、道路の4つの輸送網で構成されるEU全域のネットワーク「TEN-T」構想。424の主要都市、港、空港、鉄道ターミナルを結び、2040年までに主要なTEN-T鉄道網で、時速160km以上の走行を可能にし、高速鉄道網を実現。運河や河川は、水位等に左右されない良好な航行を可能とする年間最低日数を確保する。将来的には、積替え等の時間を大幅に短縮し、9つの路線では鉄道、道路、水路を統合した「欧州輸送回廊」を整備する。424都市内でも、ゼロエミッション型のモビリティを基本とし、公共交通機関や徒歩・自転車での交通を重視する「持続可能な都市モビリティ計画」を策定することを求める。
次に、2030年までに高速鉄道での輸送量を2倍、2050年までに3倍にするEU目標に向け、ロードマップを示した。2022年にマルチモーダルに関するEU法を整備した上で、2023年に乗客が最も安価なチケットを検索できるようトラック・アクセス・プライシングのガイドラインを策定。加えて、ユーザーの利便性を向上するためEU全域での高速鉄道網からの付加価値ぜ免除を検討。さらに、カ国の技術規則や運用規則を簡素化し、冗長性をなくす。2030年までに、新しいTEN-T要件の発効に先立ち、行動計画のアプローチを検討するための15以上の国際鉄道のパイロットプロジェクトを立ち上げる。
3つ目は、新しい都市モビリティ・フレームワークの策定。持続可能な都市モビリティ計画を含め、都市の二酸化炭素や大気汚染物質の排出量削減と、モビリティ向上を実現するためのガイダンスを示す。主に、公共交通機関、徒歩、自転車に重点を置く。2022年には、欧州委員会からEU加盟国に対し、都市のモビリティ計画策定を支援するための国家計画の策定に関する勧告を発出する予定。
4つ目は、デジタル化。具体的には、2010年のITS指令を改正し、新たな道路交通手段、モビリティアプリ、コネクテッドモビリティ、自動運転の出現に対応させることを提案している。最終的には全ての道路ネットワークをカバーし、速度制限、交通循環計画、道路工事等、特定の重要な道路、旅行、交通データをデジタル形式で利用できるようにする。
【参照ページ】New transport proposals target greater efficiency and more sustainable travel
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