米財務省外国資産管理局(OFAC)は12月10日、国際人権デーを機に、世界15の組織と個人に対する人権観点での経済制裁を発動した。中国新疆ウイグル自治区、ミャンマー、バングラデシュ、ロシア、北朝鮮の組織や個人が対象となった。
今回の制裁では、米国人が対象企業の上場有価証券、派生証券、投資エクスポージャーを提供することを目的とした上場有価証券を売買することが禁止となった。個人に対しては、米国へのビザ発給が事実上禁止された。グローバル・マグニツキー人権説明責任法に基づく措置。
制裁対象は、
- 中国:新疆ウイグル自治区のショフラット・ザキール前自治区書記と、エルケン・トゥニヤズ代理自治区書記
- 中国:顔認証技術開発のセンスタイムを非SDN中国軍産複合企業(NS-CAMIC)に指定
- バングラデシュ:政府の緊急行動部隊(RAB)と、幹部や元幹部6人
- ロシア:「欧州研究所JUSTO」と学長。ロシアで働く北朝鮮の建設作業員の学生ビザを何百人も支援
- 北朝鮮:政府系アニメ制作SEKスタジオと幹部。既存制裁を回避する形で海外から安価にアニメ制作を受託
- 北朝鮮:中央検察庁と裁判所。強制労働、常時監視、人権や基本的自由の侵害
- ミャンマー:州政府幹部4人、国防産業総局(DDI)、DDI下部組織の兵站総局(QMG)、ミャンマー戦争退役軍人組織(MWVO)
新疆ウイグル自治区では、デジタル監視システムが深刻な人権侵害を引き起こしているとし、テクノロジーを用いた人権侵害にも厳しい姿勢を示した。また、ミャンマーに関する制裁は、英国とカナダの両政府も同日発動した。
今回の措置を受け、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)、日本ボランティアセンター(JVC)、Justice For Myanmar、メコン・ウォッチの4団体は12月20日、日本の投資家に向け、ミャンマーでの「Yコンプレックス」開発プロジェクトに関与している日本企業が、ミャンマー軍に対する米国、英国、カナダの各政府制裁に抵触するおそれがあるとして、責任ある事業撤退を求める公開書簡を発表した。日本語と英語の双方で出した。
同書簡によると、大和ハウス工業の子会社フジタや、東京建物、民間インフラファンドの海外交通・都市インフラ投資事業団(JOIN)等が、年間180米ドル以上の賃料を、ミャンマー兵站総局(QMG)に支払っている。また、国際協力銀行(JBIC)、三井住友銀行、みずほ銀行も、1億4,400万米ドル(約160億円)の融資を同プロジェクトに提供している模様。
【参照ページ】Treasury Sanctions Perpetrators of Serious Human Rights Abuse on International Human Rights Day
【参照ページ】Financial Sanctions Notice
【参照ページ】【共同声明】「米国の制裁に抵触する恐れがある投資家/日本企業に対する声明」
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