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【国際】アセットオーナーと運用会社の2021年ESG議決権行使結果。研究者やNGOが分析発表

 英国及びアイルランドの大学研究者らは12月、2050年までの運用ポートフォリオのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にコミットするアセットオーナーのイニシアチブ「Net-Zero Asset Owner Alliance(NZAOA)」の加盟機関による2021年の議決権行使結果を分析。全体的に透明性が低く、議決権行使を積極的に実施していないと批判した。これに対し、NZAOAは12月8日、アセットオーナーは運用会社を通じて議決権行使を行っており、研究者らの結論は不適切と反論した。

 研究者らの分析では、2021年9月当時のNZAOA加盟46機関を分析したところ、議決権を行使しているアセットオーナーは13機関のみ。貸株による空売り(ショート)に関しても透明性が低く、議決権行使が適切に行使されていないと指摘。NZAOAは議決権行使やエンゲージメントを通じ、投資先の気候変動対策を促すと主張しているものの、NZAOA非加盟機関と比べて、行使実態は多くないと結論づけた。

 これに対し、NZAOAは、分析そのものには歓迎の意を評しつつも、アセットオーナーは、運用会社を通じて議決権行使やエンゲージメントを行っており、むしろ運用会社への働きかけが活動の中心として動いていると反論。また、企業に対するエンゲージメントでも、61の加盟機関のうち、30機関がすでに2025年の目標を設定しており、今後増えていくことの見方を示した。

 他方、英ESG投資推進NGOのShareActionは12月15日、運用会社を分析対象とし、上場企業への社会・環境分野での議決権行使が積極的ではないとする分析結果を発表した。分析対象の株主総会議案146件のうち、過半数を取得し可決されたのはわずか30件。一方、ブラックロックの調査によると、50%の賛成票を得た案件について、企業の実行率は94%と高く、議決権行使のインパクトは大きいという。

 2020年と2021年の比較では、運用会社51社の対象で、賛成票の平均割合は4%ポイントと微増。但し、クレディ・スイスの運用部門と、ノルデア・アセット・マネジメントは、61%ポイントも増え、賛成率は各々77%と91%にまでなったという。ブラックロックは2020年の12%から2021年は40%へと増加した。

 議決権行使助言会社に関しては、ISSは75%、グラス・ルイスは44%の議案で賛成を推奨。しかし、ブラックロック、バンガード、フィデリティ・インベストメンツ、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)、キャピタル・グループ、J.P.モルガン・アセット・マネジメントは、これらの議案のうち40%未満しか賛成を投じていなかったという。ブラックロック、バンガード、SSGAの大手3社のうち1社以上が賛成に回れば、さらに18の議案が可決されていた模様。

 ShareActionの分析によると、Net-zero Asset Managers(NZAM)や、Climate Acion 100+(CA100+)に加盟している運用会社は、非加盟会社と比べ、気候変動に関する決議案に賛成票を投ずる傾向がみられた。CA100+の加盟会社は、気候変動に関する決議の72%を支持したのに対し、非加盟会社は54%だった。同様に、NZAM加盟会社は70%の賛成率だったのに対し、非加盟会社は61%だった。但し、加盟会社の中でも消極的なところもある。

 社会観点での議案では、ダイバーシティの開示を求めるもの以外では、ほとんど賛成が得られていなかった。役員報酬に影響を与える可能性のある決議に関しても、賛成率が低い。人権デューデリジェンスに関しても賛成が少なく、ShareActionは改善を求めた。

【参照ページ】Net-Zero Asset Owner Alliance (NZAOA) Climate Voting Transparency and Benchmarking Report
【参照ページ】RESPONSE TO THE SUNRISE PROJECT REPORT BY THE NET-ZERO ASSET OWNER ALLIANCE
【参照ページ】New data shows scant improvement in fund managers’ voting on ESG resolutions

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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