IBMとサムスン電子は12月14日、新しい垂直型トランジスター・アーキテクチャーを利用した半導体設計で、飛躍的に進歩したと共同発表した。別の新技術であるFin Field-Effect Transistor(finFET)と比べても、電力消費量を85%削減できる可能性があり、1週間以上充電がもつ携帯電話バッテリーの実現にもつながるという。
半導体の性能向上では、かつて2年毎に2倍になる「ムーアの法則」が知られているが、近年では限界に近づいているという。そこで、従来は、トランジスターを半導体表明に水平型に配列し、電流が横方向に流れるようにしていてたものを、垂直型に配列し直す発想の転換に至った。新たな手法を「Vertical Transport Field Effect Transistor(VTFET)」と呼ぶ。垂直型では、トランジスターの接続点が大きく代わり、より大きな電流をロス少なく流すことができる。
VTFETが実現すると、他の技術候補であるfinFETと比較して、パフォーマンスの2倍改善や、電力使用量85%削減が目指せる模様。IBMは最近、2nmチップ技術のブレークスルーを発表し、指の爪ほどのスペースに最大500億個のトランジスターを搭載できるようにもなった。携帯電話バッテリーだけでなく、暗号資産マイニングやデータ暗号化等で大量の電力を消費する分野でも、活躍が期待される。
今回の共同開発は、ニューヨーク州立大学(SUNY)が、キャンパス内建設した産業イノベーション集積地「アルバニー・ナノテック・コンプレックス」から誕生。IBMは2014年に、半導体製造部門のみを売却し、ファブレスの半導体設計部門となり、以後、最先端の研究を加速。アルバニー・ナノテック・コンプレックス内で最大規模となる次世代半導体デバイス・プロせス開発の研究所を置いている。サムスン電子が製造を行う形で共同開発を進めている。
【参照ページ】IBMとサムスン、従来型の設計を覆す半導体の飛躍的な進歩を発表
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