米環境保護庁(EPA)は12月7日、バイオ燃料の増産を目的とした規制改正案を発表した。2022年の輸送用バイオ燃料の含有義務基準を史上最大の207.7億ガロン(約786億l)に設定する案も示した。
今回発表の政策では、環境保護を確保しつつ、バイオ中間体をRFS(再生可能エネルギー基準)プログラムに含める案を打ち出した。バイオ中間体は、施設で部分的に変換された後、別の施設に送られ、RFS適合バイオ燃料に最終処理される原料のこと。生産者がバイオ中間体を利用できるようにすることで、バイオ燃料の生産コストの削減や、コスト効率の高いバイオディーゼル燃料、先進バイオ燃料(廃油由来等の環境フットプリントの低いバイオ燃料)、セルロース系バイオ燃料の生産機会を拡大できる可能性がある。
また今回の発表では、大気浄化法(CAA)に基づき年単位で設定されている輸送用燃料へのバイオ燃料混合義務目標の案も示した。まず、2020年目標は、新型コロナウイルス・パンデミックニューラル起因する燃焼市場の混乱や、全トランプ政権時代の失政を理由に従来目標を修正。そのうえで、2021年、2022年目標を設定した。CAAは、EPAに対し、バイオ燃料の4つのカテゴリー(合計、先進バイオ燃料、セルロース系燃料、バイオマディーゼル燃料)について、年間のRFS量を設定するよう求めている。EPA は、米国農務省、米国エネルギー省と協議し、議会からの指示に基づき、RFS プログラムを実施 している。
種別 | 2020 | 2021 | 2022 |
セルロース系バイオ燃料 | 0.51 | 0.62 | 0.77 |
バイオディーゼル燃料 | 2.43 | 2.43 | 2.76 |
先進バイオ燃料 | 4.63 | 5.20 | 5.77 |
合計 | 17.13 | 18.52 | 20.77 |
上乗せ分 | n/a | n/a | 0.25 |
今回EPAは、2022年の基準値に関しては、2億5000万ガロンの「上乗せ義務」を盛り込む案も示した。2023年には、さらに2億5000万ガロンを追加する意向も表明した。上乗せ分は、American for Clean EnergyがEPAを提訴した連邦巡回区控訴裁判所による2014-2016年年次規則の差戻し判決を受けてのもの。上乗せ義務を2年に分散させることで、市場に時間の猶予を与えた。EPAは今回、前トランプ政権は、裁判所の差戻し判決を未解決のままにしていたと言及した。
加えてEPAは、小規模精製所に関しては、バイオ燃料の含有義務を免除する措置を導入していたが、2020年に提訴された裁判で「小規模精製所適用除外(SRE)」が妥当性根拠を欠くとの判決を受けたことに基づき、制度撤廃も打ち出した。現時点でも65件の免除申請が出ているが、すべて却下する予定。但し、パブリックコメントで制度撤廃の妥当性に関する意見を受け付ける。
今回のEPAの発表と同時に、米農務省(USDA)は、バイオ燃料生産者およびインフラを支援するため、8億米ドル(約900億円)の支援策を発表。バイオ燃料生産者への経済的救済と、パンデミックの影響を受けた再生可能燃料市場の回復を目的とした最大7億米ドルの助成と、米国農産物由来の再生可能燃料のインフラ拡大に1億米ドルの助成で構成。
【参照ページ】EPA Proposes Comprehensive Set of Biofuels Program Updates and Improvements
【参照ページ】USDA to Make Up to $800 Million Available to Provide Economic Relief to Biofuel Producers and Restore Renewable Fuel Markets Hit by the Pandemic
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