機関投資家大手115機関が参加する低炭素経済推進イニシアチブ「Transition Pathway Initiative(TPI)」は11月24日、エネルギー・資源大手190社の気候変動マネジメント状況を分析した結果を発表。パリ協定の1.5℃目標との整合性のない企業が多く、今後さらなる事業転換が求められていくことがわかった。
TPIには現在、機関投資家115機関が加盟しており、運用資産総額は40兆米ドル(約4,400兆円)。エネルギー・資源大手に関する調査は、毎年のように実施しており、今回の調査対象企業数は前回の163から190へと27社増えた。今年の調査では、リーガル&ゼネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)、BNPパリバ・アセット・マネジメント、Robeco、ニューバーガー・バーマン、アバディーン・スタンダード・インベストメンツの5社が調査資金を拠出した。
今回調査対象となった企業の業界内訳は、石油・ガス開発が71社、石炭開発が41社、電力会社が80社。日本企業では、電源開発(J-Power)、東京電力ホールディングス(TEPCO)、東北電力、中部電力、関西電力、中国電力、九州電力、三菱商事、三井物産、住友商事、豊田通商、双日、国際石油開発帝石(INPEX)、ENEOSホールディングス、出光興産、日本コークス工業が対象となった。
同調査では、気候変動マネジメントのレベルに関する調査と、二酸化炭素排出量削減目標に関する調査の2つに分けて実施しており、気候変動マネジメントに関する「マネジメント・クオリティ・レベル」では、最高位「4*」と評価された企業が、石油・ガス採掘で4社、石炭採掘で2社、電力会社で1社あった。日本企業では「4*」の企業はゼロだった。
また二酸化炭素排出量削減目標に関する「カーボンパフォーマンス」では、140社を分析。2030年と2050年の2つのパリ協定整合性をチェックした。電力会社では、2030年で19社、2050年で11社が1.5℃目標に整合。石油・ガス開発では2050年で3社。石炭は2020年で1社あった。日本企業での1.5℃目標整合企業はゼロだった。
【参照ページ】ENERGY SECTOR “FINALLY MOVING OUT OF FIRST GEAR” ON CLIMATE AS FIRST THREE OIL & GAS FIRMS ALIGN WITH 1.5°C PATHWAY
【参照ページ】Management Quality and Carbon Performance of Energy Companies: November 2021 Update
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